TAG交渉が4月15日スタート、農産品の譲許内容は全体ではTPPが最大限
大臣官房国際部の三野敏克国際経済課長は「米国のTPP離脱後は、新たな通商協議(FFR)を通じて、日米共同声明に合意した。共同声明は重たいものであると認識している。共同声明に合意後は米国側から色々な発言が報道され、共同声明の内容以上のことを米国が求めてくるような報道が目立つ。TPP水準以上を求める内容や、農業分野で先行するなど報道されている。しかし、日米共同声明は両国トップの約束で、文書に残っている。日米間においては、日米共同声明が全てだと認識している」と説明した。
協定の譲許内容に関して、日本は農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限とされており、全体としてはTPPが過去最高水準であるとの認識を示した。そのうえで、「日EU・EPAとTPPを比較した時に、全体では日EU・EPAがTPPを上回るとは考えていない。一部のチーズや麦では、日EU・EPAがTPPを超えているように見える内容もある。例えばTPPでソフト系チーズはタイプにより関税撤廃、削減、維持とさまざまな合意となっている。日EU・EPAでソフト系チーズとして関税割当があり、16年目に3.1万tの上限内容となる。TPPでは撤廃した品目でも、日EU・EPAでは枠に入っているものもある。比較は困難になる。全体ではTPPが過去最大の水準と認識している」と話した。
農業分野の先行交渉については、米国側から正式に求められていないと強調した。仮に農業分野を先行するのであれば、日EU・EPAやTPPのように、WTOの例外として、協定を合意・発効することとなるが、実質的には全ての貿易をカバーすることになり、農業分野だけを先行するとはならないと考えているとの見方を示した。仮に日本が一方的に関税を引き下げるのであれば、WTOの問題はクリアになるかもしれないが、国会で説明するにあたり、一方的な引下げは考えられないとした。
〈畜産日報 2019年4月15日付〉