伊藤ハム柴山社長がラオスの幼児教育改善でユニセフに1,308万円寄付

左=伊藤ハム 柴山社長、右=日本ユニセフ協会 早水専務
伊藤ハムの柴山育朗社長は4月25日、東京・港区高輪のユニセフハウスで「子ども未来プリジェクト」による寄付金1,308万2,529円を日本ユニセフ協会の早水研専務に贈呈した。その後、早水専務から感謝状を受けた。記者に対し柴山社長は、「少しでも世の中に恩返しができればと思いユニセフの事業を支援している。世界で飢えているお子さん、就学ができないお子さんの中に、もしかすると(未来の)アインシュタインが潜んでいるかもしれない」と取組みへの思いを述べた。

伊藤ハムは1928年の創業以来、「事業を通じて社会に奉仕する」との創業精神を踏まえ2008年からタンザニア・ザンジバルの重度急性栄養不良の子どもたちの栄養改善を行うユニセフの栄養事業を支援する活動を開始した。16年からは「アジアのなかで最も信頼される食肉加工メーカーになる」との経営ビジョンに基づき、アジアの子どもたちに教育の機会提供を支援する「子ども未来プロジェクト」を展開している。08年から今年までのユニセフへの寄付金額の総額は1億7,254万2,014円に達している。今回は対象期間中(1月1日~2月28日)、特級あらびきグルメポークウインナー、ポークビッツ、チーズイン、キリクリームチーズ入りチキンナゲットなど対象商品(6商品9アイテム)1パックに付き1円を寄付する活動を行ったもの。

伊藤ハム米久ホールディングスの木村悦久総務部長は、「アジアでは、学齢期の子どもたちのうち約1,800万人が学校に通えない状況にある。こうした子どもたちに教育の機会を提供することを目指すユニセフの事業を支援する。主な支援活動としては、性別や障害に配慮したトイレや手洗い場などのハード面の支援のほか現職教員への研修、新規教員の育成、就学前の幼児ケア・教育などのソフト面の支援も行っている」と、プロジェクトの概要を説明した。

伊藤ハムは、ラオスでも最も厳しい環境にあるサーラワン県での事業を支援している。ラオスでは6歳から初等教育が始まるが、1年生での退学・留年率が高いことが課題であり、5歳児の就学前教育が極めて重要になる。ユニセフでは、「はじめが肝心」を合言葉に、乳幼児期の子どもの発達キャンペーンに取り組んでおり、サーラワン県では就学前学校の教員研修や新規教員の養成などで教育の質を上げる事業を行っている。さらにユニセフでは子どもに優しい学校を目指しており、ジェンダーなどに配慮したトイレ、水場、手洗い場の設置など衛生プログラムを含む教育プログラムを実施している。昨年の伊藤ハムとの取組みでは、支援対象の53の就学前学校の現職教員53人に教員研修と学習教材の提供を行った。さらに15の学校の現職教員と村落教育開発委員会を通じて学校の衛生促進活動を行った。これにより、53校の就学前学校の子ども1,325人の学習方法の改善、15校の就学前学校の子ども375人に対し適正な衛生習慣の指導が行われた。そのほか、伊藤ハムの支援により、幼稚園キット(クレヨン、粘土、鉛筆、ノートなど14種)10セット(1セット10人分)が贈られた。

〈畜産日報 2019年5月7日付〉