〈農場訪問〉宮崎県都城市・石原畜産 病気を発症させない飼養管理システムを構築
宮崎県都城市の石原畜産(石原政孝代表取締役社長)は、母豚500頭規模で繁殖から肥育までを行う一貫経営。現在、年間約1万7,000頭を出荷している。同社の特徴は病気を発症させない飼養管理システムを構築している点だ。豚舎内の徹底した温度管理や毎日の水洗による衛生管理、広々とした平飼いの離乳舎や広い空間を確保した肥育舎などでのびのびと飼育を行う。これらの飼養管理システムを実践することで、豚にとって「きちんと食べられる」「気持ちよく眠れる」「ストレスを感じない」環境づくりに取り組んでいる(日本養豚協会:養豚農業実態調査報告書、本紙「畜産日報」取材)。
石原畜産の皆さん(下段中央=石原政孝代表取締役社長)
【調査概要】
▽調査先の名称:有限会社 石原畜産(石原政孝代表取締役社長・石原孝志代表取締役副社長)
▽所在地:宮崎県都城市五十町4955▽従業員:繁殖部門5人、子豚部門4人、肉豚部門3人、清掃部門2人、事務員1人、合計15人(うち外国人研修生2人含む)
▽敷地:1万2,000平方メートル(浄化槽込)
▽品種:交雑種(LW)
▽飼料:市販配合飼料
【農場の概要】
石原畜産は母豚500頭規模で繁殖から肥育までの一貫生産を行う。宮崎県都城市と鹿児島県曽於市の県境に位置する農場では、年間平均気温は16℃前後だが、夏季は30℃以上まで気温が上がる日も多く、冬季は朝方には気温が低く、日中は暖かいというように、その気温差が10℃以上になる日も多い。また、霧島山の麓に位置していることからも良質な水が豊富な地域となっている。
【経営の沿革】
昭和40年に石原健一氏(伯父)と正吉氏(父)が養豚業を始める。当初は都城市鷹尾町に肥育500頭規模の肥育豚舎を設置し養豚業を営んでいたが、その後、現在の所在地である都城市五十町に肥育1,000頭規模の肥育豚舎を新たに設置。昭和45年には石原畜産グループを設立。昭和50年になると、鷹尾農場を閉鎖し、現在の五十町を本場として設定・統合を行った。
平成7年には、伯父の石原健一氏を代表取締役に、父の正吉氏を専務として、農業法人 (有)石原畜産を設立させた。また同年には、繁殖から肥育までを行う一貫生産を開始する(母豚300頭)(肥育5,000頭)。その後、規模拡大を図りながら現在は、第1農場、第2農場で母豚500頭、肥育6,500頭規模まで成長。平成22年には世代交代したことで現在の体制となり、政孝氏、孝志氏の2人が代表取締役に就任している。
政孝氏(45歳)は養豚業に携わって30年。中学卒業後、家業を手伝うため就農を開始。その後は父の家畜商としての仕事を手伝ううちに、その面白さに気づき、本格的に養豚経営に取り組み始めたという。一方で、兄の孝志氏は生産現場に注力して取り組んでおり、現在は主に現場を中心として後継者育成に取り組んでいる。
〈畜産日報 2019年5月20日付〉