スターゼン2019年3月期決算、輸入食肉など取扱量伸び111億円増収に
スターゼンは5月23日、東京都中央区の日本橋兜町の日本証券アナリスト協会内で2019年3月期決算説明会を開いた。中津濵健代表取締役会長兼社長、永野章代表取締役副社長、横田和彦常務取締役、定信隆壮執行役員財務本部長が出席した。
最初に中津濵社長が、「19年3月期の売上高は3,512億円で、輸入食肉などの取扱量が2万1,170t増加、前期に比べ111億円増加した。しかし、国産牛肉の相場高や物流費の高騰を販売価格に転嫁できなかったことなどで売上高利益率は8.7%と前期を0.3ポイント下回った」と総括した。
その上で、「品目別の売上高は、国産食肉が3億円増の1,483億円、輸入食肉が83億円増の1,334億円、加工食品が21億円増の511億円、ハム・ソーが2億円増の138億円だった。値ごろ感のある輸入食肉が伸びており、うち輸入牛肉が34億円増、輸入豚肉が19億円増となった。牛肉は国産牛肉の高値で比較的安価な輸入牛肉に需要がシフトした。加工食品はローストビーフ、ハンバーグが順調に推移し21億円増加。総合食肉加工メーカーへの挑戦を掲げ、積極的に拡大したことが奏功した」「今後も、マーケットのニーズに沿った商品を開発し拡大していく。設備投資41億円は本宮ハンバーグ工場が中心。税引き後利益(前期の51億円から46億円に減少)の増減要因を見ると、国産牛はマイナス5億円、国産豚は上期に相場高で苦戦も下期に安値安定し3億円増となった。輸入肉は7億円増加した。販管費では物流費が5億円増加した」と品目別の売上高、損益の増減要因を説明した。
20年3月期は、売上高3,650億円、営業利益51億円を予想しているが、「中国のASF、米中貿易問題などマーケットの状況から固めに見込む。その中で輸入食肉と加工食品を中心に売上増を見込む。また物流費の売価への転嫁を図り営業利益の改善を図る。今期のスタートは10連休だった大型連休を差し引いても好調で、数量で6%増となっている」と述べた。
中期経営計画(19年3月期から21年3月期)と事業環境では、「総合食肉加工メーカーへの挑戦(攻め)、業務プロセス改革によるグループ競争力強化(守り)、コーポレート機能強化(攻めと守りを支える機能強化)を3本の柱にして、最終年度売上高3,800億円、営業利益100億円を掲げている。環境が大きく変化して厳しいととらえているが、現在、情勢を分析している。中計の進ちょくを4つの成長ドライバーで見ると、〈1〉継続的な成長では、売上高・取扱量・シェア拡大ができた〈2〉加工食品の取扱量・利益拡大は、取扱量拡大も利益率低下、本宮工場の計画未達〈3〉コストの適正化は、物流費・人件費高騰〈4〉三井物産との協業は、輸出・品質保証分野で協業が進むとともに、海外案件を検討中――。このうち、本宮のハンバーグ工場では大手との商談がまとまり巻き返しできる」と説明した。
今後の課題では、物流費・人件費の高騰、国産牛の仕入れ価格高止まり、国内の疾病問題、TPP・EPA発効に伴う輸入食肉・輸入加工品の需要増、日米TAG交渉が成立した場合の輸入需要拡大、中国ASFによる世界的な豚肉相場上昇を挙げた。「国内牛の高値など食肉全体の変化はあるがこれらの環境を克服し、生産事業、販売、物流を含めて効率化を高め、当社の全国50カ所の販売拠点、600台の自社物流を持つことの優位性が生かされると確信している。今後、分社化の見直し、業務のシステム化・効率化、当社の50拠点と自社物流を生かしコストの適正化を進め収益を上げたい。加工食品を強化し、人手不足の顧客のバックヤードへの対応を強化し利益を確保したい。また海外での日本食ブームに対し、スターゼンのビジネスモデルを展開できると考えている」と述べた。
〈畜産日報 2019年5月24日付〉