2019年6月輸入は牛肉4.6万t、豚肉7.5万t、鶏肉4.3万tか/貿易速報から推計

畜産日報 2019年7月19日付
財務省が7月18日に発表した6月の貿易速報によると、肉類合計の輸入量は23万7,764tとなった。この速報値と動物検疫数量、TPP11協定国などの旬別牛肉輸入量から推計すると、6月の輸入通関量は牛肉4万6,000t前後、豚肉7万5,000t前後、鶏肉4万3,000t前後と見込まれる。前月に比べ、牛肉は2,500t弱減少、豚肉は9,500t前後減少、鶏肉も3,500t前後減少する見通し。4月に年度SG回避や日EU・EPAの関連で牛肉、豚肉が急増したが、5月、6月と不需要期に入る中で落ち着いた輸入となっている。

貿易速報によると、肉類の総輸入量は前年比3.2%減の23万7,764tとなった。地域別には、米国は前年比7.4%減の5万4,723t、EUが6.9%減の3万680t、アジアが9.4%減の5万1,931t(うち中国1万8,559t、アセアン3万3,205t)、その他の地域(豪州、ブラジル含む)が5.2%増の10万430tとなった。前月比では全体で1万9,938t減少し、うち米国は6,930t減、EUは4,012t減、アジアで1,423t減(うち中国26t増、アセアン1,442t減)、その他地域は7,573t減と、各地域で減少した。

6月の動物検疫数量は、牛肉が5万8,616t、豚肉が8万9,646t、家きん肉が4万8,659t、家きん調製品が3万4,614tだった。前月比では、牛肉が1,791t減、豚肉が2万722t減、鶏肉は381t増、家きん調製品は3,307t減となった。肉類の動物検疫数量は24万6,034tで、貿易速報の数字が8,270t下回り、この分が未通関に回ったとみられる。

これらから推計すると、6月の牛肉輸入量は4万6,000t前後(豪州2万2,500t、米国1万8,000t、NZ1,500t、カナダ2,500t、メキシコ1,500t)が見込まれる。豚肉は7万5,000t前後(EUが2万6,000t、米国2万1,000t、カナダ1万8,000t、メキシコ8,000t、チリ2,000tなど)とみられる。鶏肉は4万3,000t前後(ブラジル3万4,000t、タイ7,500t、米国1,500tなど)、また家きん調製品は3万9,000t前後と見込まれる。

〈天候不順、選挙で牛肉の末端消費一段と冷え込む、今夏の牛肉焼き材需要も苦戦か〉
7月も折り返し地点を過ぎ、いよいよ来週からは学校が夏休みに入り、そして梅雨明けを迎える流れとなるが、足元の牛肉の末端消費は低迷したまま、中間流通段階では在庫圧迫感が強まっており、価格競争に拍車がかかる恐れも出ている。枝高・パーツ安の逆ザヤ拡大の懸念が強く、関係者では梅雨明けから8月の盆休み需要にかけて、どれだけ在庫が消化できるかに関心が集まっている。昨年は平年より早い梅雨明けとなったが、すでに今年は九州南部で平年よりも梅雨明けが遅れており、今後、全国的に平年よりも遅い梅雨明けが予想されている。それだけ需要期も短縮されることから、夏場の焼き材需要も苦戦を強いられる恐れもある。

例年、7月後半の時期は、夏場に向けて焼き材需要やギフト需要で牛肉の需要は徐々に活気づいてくる時期。ところが、今年は最大10連休となったゴールデンウィーク期間の出費の反動による個人消費の冷え込みが大きく影響しているうえに、このところの長雨・冷温、おまけに参議院選挙も加わり、外食需要やギフト関連の売れ行きは伸び悩んでいるもよう。「海の日」を含む三連休明けの補充買いの動きもほとんどみられず、また先の需要好転の雰囲気もみられない。

パーツでは和牛、交雑種ともにロース、カタロースの動きが悪く、夏場商材の焼き材の動きも悪い。量販店など末端では焼肉セットやステーキが品揃えされているものの、専ら動くのは単価の安いモモの切り落とし用が中心となっている。節約志向もあり全般的に和牛から交雑種へ、そして国産から輸入ビーフへ販促がシフトしている。こうした末端の動向を反映して、和牛の枝肉相場は上位等級中心に弱含みとなっているが、交雑種は前年同期よりもキロ当たり100円強高値を付けて推移している状況だ。

業界では、梅雨明けによる焼き材需要と盆休み需要に期待をつないでいるが、量販店との商談では「今年の盆休みは例年より仕掛けが少なそう。大きな需要の伸びは見込み薄」(問屋筋)との声も。この後、盆休み需要に向けて出荷頭数の増加も予想され、休み明けは、節約ムードが一段と強まるため、決算期に向けてある程度在庫消化の目途を立てる必要もあるといえる。

〈畜産日報 2019年7月19日付〉