日本ハム 食肉事業の減益の影響が大きく、全体でも増収減益に/2020年3月期第1四半期
日本ハムは7月31日、2020年3月期第1四半期の連結業績を発表した。売上高は前年同期比0.1%増の3,047億6,000万円、事業利益は7.6%減の110億7,400万円、 税引前利益は19.2%減の123億4,400万円、四半期利益は20.8%減の87億5,300万円、親会社の所有者に帰属する四半期純利益は22.1%減の86億5,100万円だった。通期の連結業績予想は売上高が3.7%増の1兆2,800億円、事業利益が4.4%増の400億円、税引前利益が14.1%減の260億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が5.4%減の185億円を見込んでいる。
セグメント別の詳細は以下の通り。
[加工事業本部]
ハム・ソー部門のコンシューマ商品では、「シャウエッセン」と「シャウエッセンホットチリ」との相乗効果にくわえて、若年層をターゲットにWeb を活用したプロモーションを実施するなど拡販に努めたほか、「World Travel アンティエ」の投入などで売上げは前年を上回った。一方、業務用商品で大手外食チェーン向け商品の売上げが減少したことなどによって、ハム・ソー部門全体の売上げは微減となった。加工食品部門のコンシューマ商品では、「石窯工房」シリーズの改元に合わせた新商品の投入、「チキチキボーンレモン」の上乗せ効果もあって売上げは前年を上回った。業務用商品では総菜・中食チェーン向けの売上げが減少したことで、加工食品部門全体の売上げは微減となった。利益面では主力ブランド商品の伸長による単価上昇で粗利益率が改善したほか、製造部門における省人化の取組みなどによって増益となった。加工事業本部の売上高は0.4%減の839億7,000万円、事業利益は65.6%増の22億800万円だった。
[食肉事業本部]
国産豚肉「麦小町」や国産鶏肉「桜姫」などのブランド食肉を中心に拡販に努め、「桜姫」では桜の開花時期に合わせた「桜でお花見プレゼントキャンペーン」の実施と、それに連動した店頭販促を行った。また、日本ピュアフード・伊勢崎工場の稼働に伴って幅広いチャネルに向けて提案・営業活動を行い、需要期には輸入牛肉・鶏肉、食肉加工品の販売量が大きく伸長して売上げは前年を上回った。利益面では生産部門で現場の効率化・省力化に繋がる設備の導入などに努めたが、国産鶏肉の相場が軟調に推移したことなどで昨年を下回った。販売部門では国産豚肉・鶏肉を中心に荷動きが低調だったことや物流コストが上昇したことなどで全体で減益となった。食肉事業本部の売上高は2.0%増の1,930億1,300万円、事業利益は20.1%減の77億9,500万円だった。
[関連企業本部]
水産部門は主要販売先で価格競争の激化により主要魚種の販売が苦戦して売上げは前年を下回った。乳製品部門のヨーグルト・乳酸菌飲料はCVSチャネル向けの販売減少や競争が激化した乳酸菌飲料の販売が減少して売上げは前年を下回った。一方、チーズは主力の業務用商品で外食やCVSチャネル向けの販売が好調に推移したことで売上げは前年を上回った。利益面では水産部門で粗利益率の改善や自社工場の生産数量が増加したことなどで前年を上回った。乳製品部門のうち、ヨーグルト・乳酸菌飲料は生産数量の減少による粗利益の減少や、新工場稼動に伴う経費の増加などで前年を下回ったが、チーズは前年を上回った。関連企業本部の売上高は7.5%減の337億9,500万円、事業損失は8,900万円(前年同期は1,800万円の事業利益)だった。
[海外事業本部]
アジア・欧州事業では、トルコ国内の鶏肉販売や中国・台湾での加工食品の販売が伸長して売上げは前年を上回った。米州事業でも米国内での販売が順調に推移して前年を上回ったが、豪州事業は牛生体の集荷頭数が前年より減少したことで前年を下回った。利益面では、アジア・欧州事業でタイでの日本向け加工食品の販売数量が増加したこと、英国での食肉調達コストが安定して推移したことなどもあって前年を上回った。米州事業では、日本向け輸出原料の仕入れ価格高によって前年を下回った。豪州事業ではオーストラリアで安定した販売価格を維持できたことに加え、生産コストの改善が進んだことや処理工場のオペレーションの効率化を進めたことなどにより前年を上回った。ウルグアイでは牛生体の集荷環境の改善が進まず、前年を下回った。海外事業本部の売上高は1.0%増の647億9,200万円、事業利益は7億8,600万円(前年同期は5,700万円の事業損失)だった。
〈畜産日報 2019年8月1日付〉