USMEF、東京湾クルーズ船で「アメリカン・ミートセミナー」開催
米国食肉輸出連合会(USMEF)は9月5日、東京湾クルーズ船を貸切り「アメリカン・ミートセミナー&テイスティングセッション」を開いた。USMEFとしては初のクルーズ船でのセミナー開催となったが、来日したUSMEFメンバーをはじめ国内流通業者ら320人が参加した。セミナーではアメリカン・ビーフ/ポークの現状を説明したほか、秋冬に向けたキャンペーンなど、マーケティングについて提案した。
USMEFのダン・ホルストロム会長兼CEOのプレゼンテーションでは、「日本は最大の貿易相手国である」と強調した上で、「1985年以降、日本とのビジネスは拡大を続けており、昨年の対日輸出額はビーフ21億ドル、ポーク17億ドルに上ったが、今後これをさらに拡大させていきたい」とした。
現地の状況については、「今回はたくさんの良いニュースを伝えることが出来る。生産量については19年、20年の牛肉生産量は過去最高となる見通しだ。豚肉についても昨年に過去最高の生産量を記録し、19年、20年についても伸長することが予測されている。また、5月に輸入規制が撤廃された30カ月齢以上の牛肉(OTM)について、OTMの牛タンやショートプレート、アウトサイドスカートなど多くのカット肉で輸出の可能性があると考えている。日本のパートナーと協力し、さまざまなチャネルで拡大していきたい」と述べた。
また先日発表された日米貿易交渉の大枠合意について、「トランプ大統領と安倍首相が基本合意を発表した。TPP協定と同じ基準との意図を持っており、我われとしても計画サイクルの中で20年、あるいはもっと早い段階でアメリカン・ミートが再び日本でのシェアを維持し、さらに拡大できると予測している」と喜びを示した。昨年に輸出再開となったアメリカン・ラムについては、「今後、さらに日本のリテールに届くよう流通を整えていく必要がある。アメリカン・ラムは非常に大きなチャンスであると考えており、今後頑張っていきたい」と抱負を述べた。
ゲイリー・マイヤー米国大使館農務担当公使は来賓のあいさつの中で日米貿易交渉の大枠合意について触れ、「米国大統領と日本の首相の間で話し合いが行われ、日米間での新たな貿易協定が整いつつある。これに従い、アメリカン・ビーフ/ポークでも関税が引き下げられ、大きなメリットとなる。この基本合意が最終的により幅広い範囲で協定として発効されることを期待している。今後、さらに日米の関係は強力になっていくと思われる」と期待感を示した。
来日したアイオワ農業連合会のデイビッド・ミラー氏は、アメリカの食肉業界の現状について、
▽米国の豚肉と牛肉の生産量は増加傾向にあり、米国には信頼性の高い供給者がいる
▽飼料価格は一時混乱が見られたが、国内の生産量は増加傾向にあり、世界でも穀物の供給量は膨大にある
▽中国との貿易摩擦やアフリカ豚コレラが米国産トウモロコシと大豆の輸出需要を減らしつつある
▽中国の豚肉、牛肉、家きん肉の輸入需要は増加することが見込まれるが、世界の貿易にどの程度影響を与えるかは不透明な部分が多い
――と説明した。
そのほか、USMEFのケビン・ジョーンズ次期会頭、ミネソタ養豚生産者協会のデイブ・プレイスラー氏は、生産者を代表してアメリカン・ビーフ/ポークの品質の高さ・安全性について参加者たちにアピールした。
〈畜産日報2019年9月9日付〉