新型コロナウイルス感染者発生時の対応、農水省が事業継続に関するガイドラインを公表
農水省は3月13日、新型コロナウイルス感染者が発生した際の対応および事業継続に関するガイドラインを発表した。食品産業事業者や畜産事業者向けなどそれぞれ業種別に定めたもので、予防対策の徹底、患者や濃厚接触者への対応、業務継続を図る基本的なポイントをまとめた。予防対策の徹底では、事業者は従業員に対し、
〈1〉体温の測定・記録
〈2〉発熱などの症状がある場合、所属長への連絡・自宅待機の徹底
〈3〉4日以上の発熱継続や基礎疾患のある場合は保健所への問合せ
――の感染予防策を要請した。
加えて酪農ヘルパーなど、複数の畜産農家に出入りする事業者は、毎日の体温測定・記録を求めた。また、卸売市場や家畜市場のせり場など、常時不特定多数の者が集合する場所では、できる限りマスクを着用し、着用しない場合は適正な距離(2m)を保って取引を行うことを徹底するなど、事業者の業態にあった感染予防策も求めた。
患者が発生した場合は、事業者は保健所に報告し、対応の指導を受け、事業所内に感染者が確認されたことを周知し、感染予防策は改めて周知徹底する。濃厚接触者が確定された場合は、自宅待機させるなど、感染拡大防止措置をとる。また事業者は保健所の判断により、感染者が勤務した区域(畜舎、堆肥舎、倉庫、製造加工施設、事務所など)に消毒を実施する。一般的な衛生管理が実施されていれば、感染者が発生した施設などは操業停止や食品廃棄などの対応をとる必要はない。
畜産事業者向けの業務継続については、家畜の飼養管理など毎日欠かすことができないため、業務を継続する体制を予め検討・構築することを求めている。畜産農家の体制構築に必要な場合、農協などの生産者団体が中心となり、畜産農家、生産者団体、酪農ヘルパー組合などの関連団体、飼料製造業者、運送事業者などの間で、業務分担する体制・構築が必要となる。また必要に応じ、地方自治体に指導を要請する。具体的には、責任者・担当者の選定、関連事業者との連絡体制の構築、感染者などの把握と情報共有、生産現場の速やかな消毒、業務継続のための支援として、代替要員の確保、確保できない場合は、一時的な家畜の移動先の選定、移動手段を検討する。
飼料製造者などでは、責任者や担当者の選定、事業部内の連絡体制構築、社内対策本部を設置し、感染者が発生した際の関係会社への連絡体制構築が必要となる。工場では、消毒用資材の確保、手配先の把握、感染者担当ラインの消毒、工場、保管施設の消毒、運送会社などによる飼料配送車、出入りした農場などの消毒要請も必要になる。事業継続手段として、代替要員の確保、代替製造及び他社工場での委託製造、代替運搬手段への切替、飼料穀物備蓄対策事業における緊急運搬事業の申請などを確認する必要がある。
食品産業事業者の業務継続については、濃厚接触者の出勤停止措置などにより、通常の業務継続が困難な場合は、重要業務として優先的に継続させる製品・商品及びサービスや関連する業務を選定し、重要業務を継続させる人員、物的資源などの把握を求めた。そのため、在宅勤務体系・情報共有体制・人員融通体制を整備し、重要業務継続のための業務マニュアルを作成する必要がある。小規模事業者が業務全体を休止する場合は、他の事業所や所属する組合、協会などに相談し顧客への供給確保に努めることも求めている。
〈畜産日報2020年3月16日付〉