福岡の食肉専門店アトムが東京「勝どき店」直売所オープン、一頭買いでお値打ち価格、宮崎牛5等級など販売
同社はこれまで地元福岡を中心に直営店4店舗、御殿場市と横浜市鶴見区にFC2店舗を展開してきたが、東京都内の進出は初めて。アトムの得意とする一頭買いを通じて、「宮崎牛」A5等級を中心にかなりのお値打ち価格で販売するという。今後、年内に関東へ7店舗ほどをオープンする計画で、関東の消費者に最高級ランクの「宮崎牛」の魅力を伝えていく。
店舗面積は約60坪(198平方メートル)で、店内には「宮崎牛」A5等級の各部位をはじめ、国産豚、九州産「古処鶏」、宮崎牛のハンバーグ、餃子、ウインナーなどの自家製総菜や各種調味料など自社ブランド製品を揃え、精肉で300種類、総菜で50種類を販売する。
アトム「あんずお肉の工場直売所 勝どき店」店舗外観
なかでも看板商品の「宮崎牛」は、ロースステーキの場合、100g当たり税別680円と「市場価格の約半額」(花田社長)で発売する。国産豚も群馬県の「上州豚とことん」の生産者との協力で固定相場で購入することで、リーズナブルな価格で販売。また、一頭買いを通じてタン、シンシン、トモサンカクなどの希少部位や、もつ鍋が名物の地元福岡だけあって、ホルモン類は非常に充実した品ぞろえとなっている。
オープンに先立ち、1月28日に同店で内覧会が開かれた。出店に際して花田社長は、「当社は外食専門の問屋を営んでいるほか、外食産業にも進出している。新型コロナ禍のなかで非常に厳しい環境に置かれているが、そのなかで小売業も進めており、物販店を福岡に4店舗、御殿場市と横浜市鶴見区にFCを展開し、物販事業は非常に好調な売上げを示している」と説明。
そのうえで、「これまで当社が納めている『宮崎牛』のような高級牛肉は、高級レストランで提供されてきた。コロナ禍でこれら高級牛肉の消費が落ち込むなかで、家庭で少し良いものを食べていただければと、より身近な単価で提供し、味をしっかりと理解してもらいたい。消費者の皆さんがおいしい『宮崎牛』を食べて固定客になってもらうことで、少しでも『宮崎牛』の発展と、生産者が置かれている厳しい環境からの改善につながればと思う。これからも関東に7店舗ほどを年内にオープンする計画を進めている」と述べた。
〈外食事業者の新たな事業の柱に、関東にFC7店舗を展開へ〉
花田社長によると、今後出店を計画している7店舗はFC(フランチャイズ)で、すでに茨城県つくば市、千葉市、平塚市、鎌倉市、そして静岡県御殿場市2号店の物件が決定しているという。このFCとは別に、再度、直営店も東京都内へ展開する計画だ。
外食向け中心の卸売業を展開する同社がことし物販店を順次出店していくことのねらいは、苦境にある取引先の外食事業者らの新たなビジネス展開につなげるためのきっかけづくりという。
花田社長は、「当社の卸売事業は、かなりのパワーのある顧客と取引しており、コロナの影響で確かに顧客の売上高は落ち込んでいるものの、出店規模の大きい取引先が多いため、幸いに当社としての売上げは前年度比100%を上回る卸売事業を展開している。今回、FC展開をする方々はすべて外食事業者で、物販事業について新規参入をすることになる。物販店の展開は、コロナ禍のなかで彼らの次のビジネス展開のためのお手伝いができればという、ひとつの起爆剤的な要素があり、FCを出店したところでは、非常にスタッフのモチベーションが向上したという。外食事業者の皆さんがこの物販事業によって新しい事業の柱をつくっていただければという思いで精肉店を展開していきたい」と、強く語った。
〈畜産日報2021年2月1日付〉