〈令和3年2月の需給展望 鶏肉〉緊急事態宣言期間延長で国産生鮮は引き続き堅調

〈輸入品の荷動きは変わらず鈍い、輸入量適正化で相場上昇目指す〉
1月の鶏肉需給は上旬に再度の緊急事態宣言が発出されたことで、国産生鮮は引き続き量販店を中心に安定した需要が続き、相場も年末年始の高値水準を基準に高止まりとなった。野菜価格が安定していたこともあり、鍋物需要も堅調で手羽などの副産物もそれなりの動きとなった。

例年1月は年末年始を終えて、消費者の財布が締まるが、2021年はコロナ禍での景気後退が拍車をかけたことで、例年以上に締まったようで、食肉の中でも末端売価で優位性の高い鶏肉に需要が集中したようだ。

供給面では西日本を中心に続発する高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の影響で、産地によっては出荷・搬出制限を受けるなどの影響が出た。ただし全国的な供給量の面での影響は軽微と言える。

一方で輸入品は忘年会需要だけでなく、新年会需要にも恵まれず荷動きは鈍い。2020年は輸入量を調節することで、低水準ではあるが相場を維持してきた。ただし1月も需要が回復していないだけに、しばらくは相場上昇の期待ができない状況。

1月の月間平均相場は、日経加重平均でモモが711円(前年621円)、ムネが314円(262円)と引き続き前年を大きく上回り、正肉合計1,025円と前年比90円高となり、前月に続き1,000円を超える高水準となった。前月比ではモモは23円高、ムネは2円高となった。

〈供給見通し〉
日本食鳥協会がまとめているブロイラーの生産・処理動向調査によると、1月の生体処理羽数は前年同月比1.7%減、処理重量は2.7%減と、ともに減少する見通し。2月も2.8%減・3.1%減と減少幅の拡大を予測するが、3月には4.5%増・4.1%増と増加に転じる見込み。

地区別の2月の処理羽数では、北海道・東北地区の処理羽数は2.3%減、重量も2.3%減と予測。南九州(宮崎、鹿児島、沖縄)でも、処理羽数2.1%減、重量は2.2%減を見込んでいる。農畜産業振興機構の鶏肉需給予測によれば、2月の国産生産量は13.3万tと前年同月比3.6%減を見込み、前月比では4,300t減と予測している。そのため、20年12月から21年2月までの3カ月平均では14.3万t・0.2%減と予測している。

輸入品は、ブラジルなどの主要輸入先国からの輸入量が前年同月を上回ると見込まれ、1、2月とも前年同月をやや上回ると予測。1月は4.3万t・4.0%増、2月は4.6万t・4.3%増と予測している。それでも3カ月平均では、12月が4.2万t・5.8%減を見込んでいることもあり、4.4万t・0.7%増と予測している。

〈需要見通し〉
国産生鮮の需要は10都府県で緊急事態宣言の期間が延長されたことで、内食需要が継続するため、2月も強い引き合いが維持されるものと見られる。また2月は供給量が前年同月を下回ることや、西日本を中心とした高病原性鳥インフルエンザの発生による、移動・搬出制限、育すう農場での発生などの影響がでる不安感もある。

一方で輸入品は、主要の外食需要が宣言延長の影響もあり大幅に減退している。また1〜2月の輸入数量は、昨秋に決定されたもので、国内ではGoToキャンペーンなどが開始されるなどコロナ禍での景気回復が期待された時期でもあったため、前年並みの輸入量を確保していたようだ。今後は適正な在庫量を見定めながら、国内在庫量の調整が求められる。

〈価格見通し〉
国産相場は今後もしばらくは高水準を維持すると見られるが、2月は1月末水準を維持もしくは微減と予測する。モモは700円の大台を割るのはもう少し先となり、ムネも300円台は維持しそうだ。そのため日経加重平均でモモが705円前後、ムネは310円前後と予測する。農水省市況ではモモが725円前後、ムネが330円前後と見込まれる。

〈畜産日報2021年2月5日付〉