「ジョンストーンビーフ」は牛の個体に合わせ21〜28日熟成“キメの細かさが特徴”、ボード・ビアがプロ・シェフ向けにアイリッシュ グラスフェッドビーフを紹介

「ジョンストーンビーフ」
ボード・ビア(アイルランド政府食糧庁)は10月13日、プロの料理人を対象に「アイリッシュ グラスフェッドビーフ」を紹介する「プロ・シェフ・マスタークラス」を、ラグジュアリーホテルのアンダーズ東京で開催した。

ボード・ビアのジョー・ムーアジャパンマネージャーがアイルランドの牛肉生産を紹介したほか、ジョンストーンビーフのプロモーションを担当するフィオナ・フラヴィン氏がエイジングビーフを紹介し、同ホテル調理による試食が行われた。

ジョー・ジャパンマネージャーによれば、アイルランドの主産業は食品・飲料で輸出額は1兆6,000億円にのぼり、うち牛肉が2,900億円を担っている。アイルランドは、日本よりは年間降雨量は少ないものの、梅雨もなく安定した降雨に恵まれ、水資源も豊富で牧草の生育に優れている。冬季の一時期はサイレージを給餌するが、それ以外の時期は放牧により牧草肥育している。ホルモン剤や成長促進剤は使用が禁止され、抗生物質の使用も徹底的に管理されている。農家の99%が家族経営で、飼養頭数は平均で17頭程度となる。

恵まれた自然環境を活かした食品生産を実践するために、2014年に国家的食品サステナビリティプログラム「オリジングリーンプログラム」を制定した。長期的な供給を保証する生産だけでなく、環境負荷軽減や、豊かな天然資源の保全を実践している。畜産農家に限らず、加工や小売業者など全ての関連企業がプログラムに参加することができる。5万戸以上の牛飼養農家が参加し、18カ月ごとに温室効果ガス排出量や水の使用状況、動物福祉への取り組み状況などの監査を受ける。プログラムの実施により、農家の二酸化炭素排出量を5%削減し、加工業者のエネルギー排出を11%、水使用量を17%削減した。

ジョンストーンビーフは、世界の輸出市場に焦点を当てている。世界中のミシュラン4〜5つ星ホテルやステーキハウスをメーンターゲットに、一貫して高品質エイジングビーフを提供している。同社では、最高級の枝肉を仕入れるために、慎重に吟味し、手作業によって選別しているため、50頭に1頭の割合で仕入を行っている。

仕入は品種にこだわらず、品質や脂肪交雑、個体値に基づいて精査している。味や風味、食感の一貫性を重視している。メーン品種はアンガス・ヘレフォード・交雑種となる。マーブリングスコアとしては米国チョイス・プライムと同等程度だとした。肉の柔らかさや、うま味を追求するためにドライエイジングを実践している。50年以上のドライエイジングの経験に基づき、牛の個体に合わせて21〜28日間の熟成を行う。

最先端のドライエイジング施設も1,250万ユーロ投資している。エイジング後は、シェフが求める適切なカットを行い、安全な輸送ができる厚くて高品質パックにする。パック後の賞味期限は骨付きで30日間、骨なしで45日間の賞味期限となり、パック後の日本までの輸送に約10日程度を要する。

ジョンストーンビーフの輸入を行う、フレンチF&Bジャパンの菅沼安尋ミートプロダクトマネージャーは「肉のキメが細かいことが一番の特徴だ。ジョンストーンビーフでは、通年で牧草を食べさせてサシを作るので、長く育てることでサシが細かくなる」と説明した。試食ではストリップロインのローストや、ビストロステーキ(6番をカットしたもので、ロース芯のみの部位)のシェパーズパイ、プライムリブのギネスビール煮、リブアイロールのステーキが振舞われた。

〈畜産日報2021年10月18日付〉