〈令和4年1月の需給展望 豚肉〉少なめの出荷頭数、不安定な輸入品が相場を下支え

〈後半にかけて下げても、月間平均で500円絡みの展開か〉
2021年12月の豚肉需給は、後半にかけて1日当たりの出荷頭数が7万頭を超える日が多くみられた中、実需は気温低下に伴って鍋物需要の高まりなどから、バラ、カタロース中心の動きとなった。

とくにバラはひっ迫気味となり、末端ではモノを確保するのに苦戦した。豚枝肉相場は東京市場の月間平均で前年同月比40円高の上物税抜き536円(税込み579円)と高値を付けた。月初こそ500円を割っていたものの、第1~2週目は500円を超えて推移し、年末年始の手当て買いが強まった第3週目からはジリ上げとなり、最終日となった12月28日の相場は同628円(税込み678円)と急騰した。

大手を中心に追加で手当てする動きがあったことに加え、第3週目までに手当てしきれなかった分を確保する動きなどもあって、最終日も買い気が強かったようだ。

1月は例年、年末年始の出費の反動もあり、需要が鈍る時期となる。ただ、枝肉相場は年明け後の補充買いや「成人の日」を含む3連休に向けた手当てなどで、今週(6、7日)はある程度底堅い相場展開が予想される。月間を通してみると、出荷頭数が少なめで推移することや、輸入チルド豚肉の不安定感も相まって下げ要因は少なく、月間平均で上物税抜き500円絡みと予想する。

〈供給動向〉
農水省が2021年12月23日に発表した肉豚生産出荷予測によると、1月の出荷頭数は前年同月比1%減の139.9万頭とわずかな減少を見込んでいる。12月下旬から全国的に寒波に見舞われ、1月も厳しい寒さが予想される中、東北を中心に今後の天候によっては増体不良など出荷に影響を及ぼす可能性がある。さらに、年明けの出荷については長期の休みで増体が進み、枝重が重くなることで「上」物率の低下なども懸念される。

一方、農畜産業振興機構の需給予測では、1月のチルド豚肉の輸入量は3万4,600tと3万t台半ばのボリュームと予測している。1月はカナダの洪水の影響による入船遅れから前月分の繰越しがあるとみられ、前年同月比で3.3%増加するとしている。しかし、通関のタイミングよってはタイト感が続く場面がある半面、入船が重なることで逆に余剰感が出る可能性も考えられ、しばらくは不安定な供給状況が続くものとみられる。

〈需要見通し〉
年末需要は緊急事態宣言の解除に伴い飲食店への制限も解除されたことで、帰省や観光などで外食関係や地方の量販店、ホテル関係などに動きがみられた。一方で、首都圏の量販店では前年実績をクリアするのに苦戦を強いられた店舗もあり、温度差が生じたようだ。

国産豚肉では、輸入チルドの供給が不安定だったことなども相まってマズマズの荷動きとなった。荷動きの中心はバラ、カタロースで、とくにバラの引き合いが強く、バラに関しては当面、需給が締まった状況が続くとみられる。1月もこの2アイテム中心の展開が予想され、学校給食の再開でスソ物についても動きが出始めている。

そうは言っても年明け以降、消費者の財布の紐が固くなる時期となることから、3連休明けから末端の需要は落ち着いてくる。ただ、オミクロン変異株への懸念や、感染者急増による一部地域でのまん延防止等重点措置の適用に伴って、内食需要は底堅く推移することが予想される。

〈価格見通し〉
ことしの東京市場は1月6日に初セリが行われ、上物税抜き528円(税込み570円)でスタートした。「成人の日」を含む3連休に向けた手当て買いなどで、今週は底堅く推移すると予想される。一方で、前述の通り、オミクロン変異株流行に伴う感染者数の増加などによってテーブルミート中心に底堅い需要を見込むものの、一昨年のような巣ごもり需要はみられず、後半にかけて相場は下げに転じていくものとみられる。

ただ、今後の出荷動向や輸入チルドの不安定さを勘案すると大幅な下げは考えにくい。このため、月間通しては上物税抜きで500円(税込み540円)絡みの展開と予想する。

〈畜産日報2022年1月7日付〉