日格協、豚枝肉取引規格を改正、上限・下限を3kg引上げ、2023年1月1日から適用/日本食肉格付協会

豚枝肉取引規格「現行」と「改正案」図/日本食肉格付協会
(公社)日本食肉格付協会(大野高志会長)は4月21日、豚枝肉取引規格の各等級の重量範囲を改正すると発表した。

各等級(極上・上・中・並)の重量範囲について上限・下限それぞれ3kgずつ引き上げる。周知期間を経て2023年1月1日から各現場で適用する。

豚枝肉取引規格の改正は1996年8月以来、26年ぶりとなる。重量範囲のほか、現在の豚肉流通の実態を反映して、格付単位を従来の「半丸」から「枝肉」1頭分に変更した。

この結果、「上」の場合、枝肉重量は皮はぎで68.0kg以上・83.0kg以下(旧:半丸32.5kg以上・40.0kg以下)、湯はぎで74.0kg以上・89.0kg以下(同半丸35.5kg以上・43.0kg以下)となる。前回の改定から26年、この間、豚枝肉の重量も増加しており、枝肉重量の分布のピークが現行の取引規格の重量帯の中心よりも上方に移ってしまっている状況となっていた。重量帯の上限・下限を3kg 引き上げることで、取引規格の重量帯に枝肉重量の分布が上・下ほぼ均等にバランスよく収まる形となる。

今回の改定の背景は、2020年3月に農水省が策定・公表した「家畜改良増殖目標」によるもの。

新たな改良増殖目標では、出荷体重に関して、現状の115kgを2030年度には120kgに引上げるとともに、「出荷体重の増加は、豚枝肉等の取引基準との整合を図りながら進めるよう努める」こととされている。

この出荷重量5kgの引上げは、枝肉に換算すると約3kgの引上げに相当する。これを受けて日格協では、2021年10月の臨時理事会で改正について議決した後、全国7支所・78事業所で延べ360回の事前説明を行ってきた。今回、4月21日の臨時総会で施行期日を2023年1月1日と決定した。今後、日格協では改めて全支所・事業所で関係者に改正内容を周知していく。

この改正と合わせて、日格協では、従来の書面による格付結果の情報提供に加えて、格付・関連情報を電子データで提供するサービスを開始する。また、希望者に対して格付のオプションとして豚枝肉(冷却枝肉・温枝肉)でのオレイン酸等の脂肪酸組成の測定と測定結果の提供も開始する(1頭当たり165円)。

さらに、豚肉の品質向上のための情報提供の充実と高度化のためのシステムの構築と維持・運用、格付員の技能高度化を図るための体制整備などに充てるため、98年7月1日から据え置いてきた豚枝肉の格付手数料を110円から121円(いずれも消費税込み)に改定する。

〈畜産日報2022年4月25日付〉