豚枝肉相場は500円台に、今後は小幅下げ止まりの予想、内食需要にも期待
7月23日に確認された栃木県那須烏山市の豚熱(CSF)によって、5万4千頭の飼養豚が殺処分されるとあって、当初は枝肉相場も急転するかとみられた。だが、7月最終週となるこの2日間の関東地域の枝肉相場は下げ基調となっており、一部の問屋筋には問い合わせは入っているものの、市場買いが一気に入るなど、今回の豚熱の直接的な影響は見られない。
この急激な下落は、生産者にとって厳しいものの、枝高・パーツ安に苦しんでいた中間流通にとっては「かなり売りやすくなってきた」(関東の卸筋)状況となっている。
来週はいよいよ盆休み需要に向けた枝の手当てと作業が予定される。とくにこのところの新型コロナウイルスの感染者の急拡大による旅行や帰省の自粛によって、都市部の量販店などで内食需要の増加も期待されている。そのため、今週はさらに下げても10円前後にとどまるとみられ、2019年の500円割れ~400円台半ばといった状況はないものとみられる。
3連休後の相場急落は、連休期間中の末端消費が思わしくなかったことと、連休の反動による出荷増、そして学校給食が休みに入ってスソ物需要が止まったことが重なったことによるもの。そのため、スソ物や中部位の動きも鈍化し、枝肉相場とパーツ相場のギャップが広がっていた。その枝肉相場も、上物より安価な中物へ引合いがシフトし、上中間の価格差が縮小している。
だが、この500円台前半まで下げてきたことで、「ロースは900円台でもソコソコ利益が取れるようになってきた。スソ物も凍結に仕込むことができる」(別の卸筋)という。末端にとっても、輸入食肉のコストが上昇するなかで、国産豚を売り込み易い価格帯に入りつつあるといえる。
前述の豚熱の影響についても、1日の全国と畜頭数に近い頭数が処分されるインパクトは大きく、「メーカー納め辺りで足りないところが出てくれば、市場から調達する可能性は高く、8月になってから影響が出てくるかもしれない」(関係筋)という声も出ている。
〈畜産日報2022年7月27日付〉