【米国西海岸港湾労使問題の終了後の豚肉需給㊦】正常化は4月以降、現地相場の下げで米国産チルド輸入は拡大
【米国での現地相場は低下へ】例年2月は宴会・外食需要が特段盛り上がることもなく、1日当たり6万頭半ば出荷頭数があれば需要を充分に満たせると考えられる。さらに、例年以上に冷凍在庫が積み上がっている状況では、加工需要や外食需要が国産に向くことは考えづらい。そのため2月に販売予定を組んでいたチルドポークの数量確保に不安を感じた量販店などの需要者が、品ぞろえのために急遽国産物の手配を一層増やした。そして関東以北での出荷頭数の減少で枝肉の買い付けが東京市場に集中したと考えれば、東京市場での枝肉価格が一時的に700円台(税抜)まで上昇したことも理解できる。
3月以降については、9カ月間に渡るアメリカ西海岸港湾労働紛争は終結したが、滞留したコンテナの処理、港湾周りに溜まっている輸送トラックの処理、港への入船を待って港外に滞船している船の貨物の積み下ろし処理などが山積しているため、港湾業務の正常化には暫定合意から6~8週間はかかるとの予想も聞かれ、すぐにチルドポークがアメリカから予定通りに、かつ買い付け通りの数量が入船してくるわけではない。東海岸から積み出したチルドが入船し始め、西海岸の港湾機能の回復が進めば、1週間程度の遅れがあってもチルドは定期的に入船し始め、3月末以降はさらに船積み入船状況が改善される見通し。日本の大手ユーザーである量販店などでも販売計画が立てやすくなるため、高値の国産から輸入チルドポークに切り替えて買い付けが進むのではないかとみられる。