6月の牛肉需給展望 和牛上位等級は引き続き弱含み、A3は2,100円前後
[価格見通しなど]15年5月の東京食肉市場の規格別の価格(消費税込み)は、和去A5で前月比27円安の2,453 円、A3で1円安の2,164円、交雑B2は74円高の1,599円、乳去B2は22円高の1,118円となった。
4月には再び上昇した和牛だが、5月は全体の消費が鈍る中で比較的高価な和牛の価格がわずかに低下、その一方で少しでも割安感のある交雑、乳去を手当てする動きが強く、相場はさらに上昇した。なお、和去A3は量販店での売れ筋となっており、ほぼ前月並を維持した。
前年比では、和牛のA4以下で400円台、交雑去勢も400円台、乳去で200円台後半の上昇となった(グラフ参照)。その結果、和去A3が2,100円台と前年同期のA5の価格に達し、交去B2は和去A3に近づいている状況。さらに乳去B2は1,100円を超し、前年の交去B2の価格になっている
6月の見通しでは、農畜産業振興機構の予測によると、成牛の出荷頭数は0.5%増の9万800頭、うち和牛は1.7%増の3万9,400頭が見込まれる。ともに増加しているが、と畜場稼働日数が1日多いことが要因で、成牛の1日当たりの出荷頭数では2.2%減を見込む。
一方、6月3日に四国、中国、近畿の梅雨入りが発表されるなど、不需要期入りで末端の動きは鈍い。量販店でのチラシの露出も少なく、バラとともに、交雑・乳去のロースが「父の日」用に引き合いがある程度。ただ、1日当たりの出荷が2.2%減と見込まれる中で、カット場の稼働のための最低限の手当てで相場が上昇する状況に変化はない。5月は天井感のある和牛が若干下げ、代替の交雑、乳去が上昇した。だが6月はここまで交雑、乳去が上昇すると、末端価格とのかい離を踏まえればこれ以上の相場の上昇は考え難い。そのため、和牛は引き続き弱含みでわずかに下げ、交雑、乳去は上昇は一段落するものの、現状の高値を維持すると見込まれる。