湯はぎ方式、棘突起分離装置などで衛生面と効率を両立-プリマハム鹿児島新工場
プリマハムグループの西日本ベストパッカーは、鹿児島県いちき串木野市のプリマハム鹿児島工場内に、係留場・と畜場・食肉処理加工場(肉豚のと畜・カット)で構成される「鹿児島新工場」を稼働させた(一部既報)。鹿児島工場(と場併設)は1960年に設立され、55周年を迎える。この間、改修工事を何度も行ったが老朽化が進むとともに、高度な衛生管理や環境への配慮が求められることで、新工場の建設を行ったもの。2014年4月に着工、今年3月に工事が完了し4月6日に稼働をスタート、5月から本格稼働を行っている。
新工場は、①衛生度の高い施設・設備(=写真㊤)、②生産性が高く効率的なシステム、③動物福祉を考慮した設備、④積極的な環境対策-の4つを基本コンセプトに建設された。高い衛生度については、輸出を視野に入れ世界レベルの衛生環境を実現した。厚労省ガイドライン、と畜場法改正施行規則、UsDAなどの衛生安全基準に準拠した施設となっている。各室を衛生度により壁で区画し、製品及び作業員の動線を明確に区分している。また残毛対策・衛生対策として湯はぎ方式を導入した。生産性の向上には、「“人の手”から“機械化”へ」をスローガンに、生産ラインを自動化し省力化を図った。機械トラブル時の対応によるロスを防ぐため迅速な対応が可能な機械やラインを導入した。
動物福祉を考慮した設備では、アニマルウェルフェアと品質の向上を両立させた。後述の円形追込装置や追込誘導コンベアシステムなど、豚に過度のストレスを与えない設備導入により生産性と食肉品質の向上を図った。環境対策では、工場周辺の環境に配慮し臭気・騒音対策を講じた。実際に、新工場に近づいても、言われなければ、と畜場が併設されているとは気づかないくらい、臭気と騒音対策がとられている。さらに、空調・冷蔵庫など徹底した省エネ化で電力使用量を3割カットした。