食肉・食肉加工品の小売価格は高値推移、牛肉のみ昨年下回る-5月実質小売価格

食肉相場の高値推移、原料コストの上昇などを背景に、食肉・食肉加工品の実質小売は昨年下半期から値上がりし、ことし1月以降はほぼ高止まりで推移している。こうしたなか、5月の平均小売価格は豚肉が前月から値上がりしたものの、牛肉と鶏肉は値下がりした。とくに牛肉の価格が前年を下回ったのは12年10月以来、2年7カ月ぶりとなる。牛肉は1世帯当たりの購入量も連休需要で前月比でこそ増加となったものの、依然として昨対割れが続いており、相場高に伴う量販店の販促低下などによって消費自体が縮小気味にあるといえる。

総務省が発表したことし5月の家計調査によると、食肉、食肉加工品の100g当たりの平均購入価格は、牛肉が前月から22.3円値下がりして315.5円となり、前年同月比では4.1円安と久々に前年価格を下回った。

これに対して豚肉は前月から2.1円値上がりして150.2円に。前年比では1.6円高となり、前月までの昨対の価格差が一気に縮小した。米西海岸の港湾労使問題が正常化に向かい、米国産チルドが潤沢に入ったことで、国内豚価も一時的に緩んだ結果、前年との価格差が縮小したとみられる。

鶏肉は1.3円値下がりして97.6円となり、前年比では5.5円高値に。これは、震災特需で大きく値上がりした11年5月(95.8円)よりも高値にある。牛肉に比べて豚肉と鶏肉は購入量・実質小売価格ともに昨対を上回っており、堅調な需要が伺える。

食肉加工品では、ソーセージが0.1円値下がりの146.7円とほぼ横ばいで、前年比では8.9円高と価格差が拡大した。ハムは6.0円値上がりの201.3円で同19.2円高、ベーコンは0.1円値上がりの186.1円で同12.0円高となっている。いずれも加工品は前年比では購入量が減少した半面、実質価格は上昇し、価格差も広がっている。原料高に伴う製品価格の上昇だけでなく、販売サイドも数量より利益確保への動きがより強まっているためとみられる。