8月の豚肉需給展望 月間平均で税抜き600円前後、税込650円前後か

[価格見通しなど]2015年7月の東京食肉市場の上物平均価格(税抜)は597円(税込では645円)、前月比50円高(税込では54円高)となった。当初は580円前後と見込まれていたが、これを20円近く上回る結果となった。

7月は、全国出荷頭数が毎日の速報値の積み上げでは1日6万頭をわずかに下回る水準にとどまった。その中で、当初は、「海の日」の連休前をピークに枝肉相場は上昇するものの、その後は、学校給食が休みに入りスソ物が緩むほか、北米産の輸入チルドポークでは、コスト安の7月生産分が最終週には入荷することで下げに転じるとの見方が多かった。しかし、7月中旬から米国オークランド港でのバースの混雑でチルドの入船が遅れ始め、輸入チルドのデリバリーにも支障が出始めた。「海の日」の連休に合わせた入荷が遅れ、一部ではエアーでの対応も行われたもようだ。さらに首都圏では2~3日の遅延だが、大阪では1週間の遅れともいわれ、首都圏で降ろし関西へ陸送する対応も行われた。その中で、一時的に国産の手当てが集中することになり、結果的に月間平均で600円に迫る水準まで上昇した。

2015年8月は、農水省食肉鶏卵課の肉豚出荷頭数によると、全国の出荷頭数は前年比1%増の123万9,000頭を見込む、前年を上回っているが、これは前年8月が極端に少なかった反動であり、過去5年平均比では5%減と、大きく減少すると見込んでいる。

一方、輸入チルドは、6月生産に比べコストが下がった7月生産分が、7月末から通関され、数量的にも潤沢に入ってくると見込まれる。米国のオークランド港の問題で3日程度の入船遅れがしばらく続くと見込まれるが、影響は限定的とみられる。また末端は、現状では猛暑の関係で動きは鈍く、これが一気に好転することは考えづらい。これらを勘案すれば、今週は月初の手当てで一段上昇し610円前後で推移する。実際に1日は17円高の607円を付けた。一時的に緩むとしても旧盆前まではこの水準で維持し、旧盆明けは一段下げるものの、小幅な下げにとどまり、580~590円と見込まれ、月間では600円前後と見込まれる。