牛肉の盆前需要 手当ては一巡、三角バラ・ヒレの引合い強く、ショープレも堅調
相場高とは裏腹に「海の日の」が過ぎた後も夏場らしい動きがみられなかった牛肉の末端消費だが、月替わりして以降、盆休みの手当ては輸入チルドビーフを中心にまずまずの動きとなっている。国産の手当ては先週末で一巡しているものの、輸入チルドは今週火曜日時点でも発注が来ており、なかでもショートプレートは相場の値ごろ感が出てきたことで、スーパーなどでは盆休み需要の特売商材として引合いが強まっているようだ。
ことしの盆休み需要に向けては、先週ごろにかけてカット筋中心に和牛の手当て買いがピークを迎え、今週は末端からの追加発注に対応している状況にある。ただ、上位等級を含め全体的な動きは、「例年並みで特別好調に売れているわけではない」「例年よりはやや少ない」という声が多く、この間の相場高で、末端での販促の動きも鈍く、問屋筋もこの間の逆ザヤ続きから枝肉の手当て買いも慎重になっているようだ。特に部位別では三角バラや玉薄のヒレの引合いが良く、赤身需要でモモ系の調子も良いようだ。逆にリブロースの動きが鈍いものの、バラ系がタイト気味にあることから、肩ロースに関しては焼肉スペックで販売している。特に肩ロースは例年、年末用に凍結に回す動きがあるものの、昨年末の需要が予想以上に伸びなかったこともあり、「先行きの相場も不透明で、オーダー分を超えて仕込みに回すことはできない」(関東の卸筋)との警戒感も、焼肉スペックをつくる動きに拍車をかけているようだ。また、交雑種とホルスに関しては、絶対量が不足しているため産地指定にも対応できず、この間の相場高でかえって諦めムードも出ているようだ。
一方、輸入チルドビーフは、豪州産ではトップサイドなどモモ系の引合いが強く、チャックロールも米国産チャックアイが高値にあることから一時期の投げもなくなり締まりつつある。さらに、米国産はショートプレートの動きが好調で、関西地方でもパストラミ中心に堅調に動いており、「数量的には昨年よりも大分増えている」(関東の卸筋)状況だ。昨年の相場高騰から一転、今年はこの上半期で大分扱い易い価格帯に値下がりしてきたため、特売商材としてスーパーでも徐々に豪州産から米国産に切り替える店舗が増えているようだ。
今後も、国産のうち和牛の下位等級や交雑種、ホルスは供給不足から相場はさらに上昇局面が続くとみられる半面、輸入チルドは米国産ショートプレートに加えて、チャックリブ、ショーリブなどの焼き材も先物は値下がりするとみられている。裾物・下位等級の価格上昇で上位等級との価格差が縮小しているため、末端の扱いも、売価がさほど変わらないのであれば、輸入チルド(輸入チルドポークを含め)で利益を取りつつ、国産は4等級以上にシフトする動きがより強まるとみられる。