14年の黒豚と畜頭数は1%減、第4系統造成でブランド力向上はかる-鹿児島県
鹿児島県農政部畜産課の調べによると、昨年の県内の肉豚と畜頭数のうち、黒豚と畜頭数は約31.6万頭で前年比1.3%減となった。黒豚以外のと畜頭数が約231.5万頭で同5.2%減少しているが、相対的にみれば黒豚の減少は小幅にとどまっている。黒豚の生産をめぐっては農家の高齢化や担い手不足、飼料価格の高止まりなど懸念材料は多いものの、高いブランド力を背景に、ここ数年は東南アジアへの輸出拡大も図っており、減少の流れに歯止めをかけたいところ。
国の食肉流通統計によると、14年の鹿児島県の肉豚と畜頭数は263万862頭と前年実績を4.8%下回った。県によると、このうち黒豚のと畜頭数は約31.6万頭で同1.3%減少している。黒豚以外の一般豚の減少が大きかったため、と畜頭数に占める黒豚の割合は12%と前年から0.4ポイント増となっている。と畜頭数の減少について県は「生産者の高齢化による離農や担い手不足に加えて、配合飼料の高止まり、PEDなど疾病の影響」(畜産課)と指摘している。
鹿児島県の黒豚生産は、「かごしま黒豚」の全国的なブランド認知と良質な味・風味を背景に、一般豚に比べて優位な価格設定やセットによる販売形態からかつては増産傾向が続いており、とくに90年代後半から2000年代前半にかけて大きく伸長し、06年にピークを迎えた。そして2000年代後半から、PRRsなど疾病の影響で減少に転じたものの、その後、サーコワクチンの普及で事故率が低下。09~10年にかけて回復したが、その後の生産頭数の増加と景気後退の影響、飼料価格高など採算性の低下、他の産地との競合激化など経営を取り巻く環境が悪化し、農家戸数の減少や大型経営の品種転換などで再び減産の流れになっている。実際に国の畜産統計によると、県の子取り用雌豚の総飼養頭数は12万6,600頭で同3.3%減少しており、うち黒豚子取り用雌豚は約2万5千頭・6.6%減少(県畜産課調べ)と、依然生産基盤の縮小に歯止めがかかっていない状況だ。さらに、県によると、近年は消費者ニーズの多様化によって、飼料米など多種多様な地域ブランドや銘柄豚の取組みが進んでおり、相対的に「かごしま黒豚」の販売が伸び悩んでいる状況にあるという。