牛肉関税は発効時に27.5%に引き下げ、16年目以降は9%、豚肉は差額関税と分岐点価格(kg当たり524円)維持、10年で従価税を撤廃-TPP合意内容

【牛肉】現行の38.5%関税を当初27.5%に削減、その後、段階的に削減し10年目に20%、16年目以降は9%とする。また、初年度に近年の輸入実績から10%増で発動するセーフガードを設定した(なお、現行の関税緊急措置は前年の17%増で発動する)。これはTPP国からの合計輸入量が発動数量を超えた場合、年度末までセーフガード税率を適用するもの。ただ2月に超えた場合は45日間、3月に超えた場合は30日間、それぞれ年度を越えて適用する。発動数量は年間で初年度59万t(前述のように近年の輸入実績の10%増)、10年目に69.6万t、16年目は73.8万tとする。関税が20%を切る11年目以降の5年間は、四半期ごとの発動数量も設定する。セーフガード発動時の税率は、3年目まで38.5%、4年目から10年目まで30%、11~14年目まで20%、15年目18%となる。16年目以降は毎年1%ずつ削減(セーフガードが発動されれば次の年は削減されない)し、4年間発動がなければ廃止される。なお、この発動基準数量は、過去最大の輸入数量である73.8万t(部分肉ベース、2000年度)以下に設定された。

【豚肉】差額関税制度を維持するとともに、分岐点価格(kg当たり524円)を維持した。その一方で、従価税(524円を超す場合)は現行の4.3%を当初2.2%に引き下げ、その後も段階的に引き下げ10年目以降0%と撤廃する。また従量税は、現行の1kg当たり482円を、初年度は同1kg当たり125円に削減、4年間この水準を維持し5年目に70円に引き下げ、以後段階的に削減し10年目以降はkg当たり50円とする。これにより、10年目以降は、輸入価格474円を下回る価格のものは50円の従量税、474円を超し524円を下回る部分は差額関税、524円を超すものは無税となる。(資料欄10~11面参照)

これに対し、11年目まで輸入急増や極めて安価な豚肉の輸入が一定以上行われた場合、従量税を1kg当たり100~70円、従量税を4.0~2.2%にそれぞれ戻すセーフガードを確保した。このうち従価税部分では、過去3年間の輸入量(4年目までは全輸入量、5年目以降は1kg当たり399円以上の輸入量)に対し、1~2年目は112%、3~6年目は116%、7~11年目は119%を乗じた量を超えた場合に年度末まで関税を引き上げる。また従量税では、5年目以降に、TPP国からの低価格帯(1kg当たり399円未満)の合計輸入量が、発動数量を超した場合、関税率を引き上げるもの。発動基準は、5年目は年間9万t、10年目は15万tとする。