農林水産分野のTPP対策案を提示、不安払しょくと成長産業化目指す-自民党
自民党は13日、農林水産戦略調査会・農林部会合同会議を開き、これまでの議論を基にした「農林水産分野におけるTPP対策(案)」を提示、17日の取りまとめへ向けて議論を進めた。同案には、対策の基本的な考え方と攻めの農林水産業への転換(体質強化対策)を目的とした施策、経営安定・安定供給のための備え(重要5品目関連)などが記述されている。財源は既存の農林水産予算が削減・抑制されることのないよう政府全体で責任を持って十分配慮するものとするとした。対策案の最後には、継続的に対応する課題の項目もあり、内容は今回の案ではまだ空欄だが、目の前の対策に加え、中長期の対策も入れ込んでいく考えだ。
基本的な考え方については、“16年秋を目途に農業者の意見を聴きながら政策の具体的な内容を詰める”とあり、農水省の荒川隆官房長は「対策案ではこの(15年)秋に決めていただくもの(=攻めの農林水産業への転換と経営安定・安定供給のための備え)と継続検討をするもの(=今回示された基本的な考え方の実現へ向けた施策)、従来から検討し、やってきているものの3グループに分かれると考えられる」と説明した。最優先のものを入れ込んでいくとの考え方だったものを、12日に示されたウルグアイ・ラウンド対策の反省を踏まえて、TPPへの対応や将来へ向けた対応、現行施策の充実を分けて記述している。
同案の副題は、「農業新時代:努力が報われる農業の実現へ向けて」とつけられており、基本的な考え方では“農業者の不安の払しょく”へ向け、TPP合意の影響の可能な限りの抑制、経営安定対策の充実(既存の政策の見直し・改善を含む)、“成長産業化”に向けて競争力強化・体質強化対策の充実(既存の政策の見直し・改善を含む)などが示された。また、“夢と希望の持てる農業新時代を創造する”ために、人材力を強化するシステムの整備、農業者の所得向上につながる生産資材(飼料、機械、肥料など)価格の引き下げ、戦略的輸出体制の整備、原料・原産地表示などが挙げられた。
攻めの農林水産業への転換(体質強化対策)の項目では、次世代を担う経営感覚に優れた担い手の育成、畜産酪農収益力強化総合プロジェクトの推進、高品質な我が国農林水産物の輸出等需要フロンティアの開拓、消費者との連携強化、規制改革・税制改正などの対策が示された。畜産酪農収益力強化総合プロジェクトでは、規模拡大によるコスト削減や収益力・生産基盤強化を、需要フロンティアの開拓では、牛肉など重点品目のすべてで輸出先国の関税が撤廃される中、一層の輸出拡大、輸出阻害要因の解消などを行うとしている。