年末へモモ肉需要強まるも、上昇は限定的
11月は暖冬の影響もあり、鍋需要が予想より振るわず、寒暖の差が小さかったことから生産も順調に推移した。ブラジル、タイからの10月輸入量も多く、国産生鮮ではムネ肉のほか、ササミ、手羽先などの需要がいまいちで、12月10日までの段階では、モモ・手羽元を除いて相場も緩んでいる。年末に向けて、モモ肉の需要が強まり、徐々に上がると考えられるものの、年末向けの凍結などの準備はほぼできており、日経平均で700円を超えない程度の値上がりにおさまりそうだ。
【価格見通しなど】15年11月の鶏肉相場(農水省統計部、税抜価格)をみるとモモ肉は前月比12円高の672円、ムネ肉は5円安の344円となった。モモ肉は上旬666円、中旬672、下旬677円と上げたものの、気温の下がり方が緩やかで鍋需要が盛り上がりきらず、上げ下げを繰り返しながらじわじわと上げた。ムネ肉は上旬345円、中旬345円、下旬341円と凍結や輸入品の増加で相場も緩み徐々に下げている。日経平均(税抜)では、11月はモモ肉で前月比11円高の659円、ムネ肉は10円安の335円、合計は1円高の994円となった。
12月の上旬では、モモ肉は引続き引合いは強いものの、昨年や一昨年の経験から、計画的に年末向けの凍結回しが行われたことで、年末へ向けた不足感はほとんどない。このため、一気に価格が上昇するとは考えづらいものの、寒さが強まることで鍋需要での引合いは1月へ向けて強まると見られ、年末に向けてはじわじわと上げる見通し。通常の12月ほどの急上昇がないため下旬には690円~700円程度(日経平均で690円前後)まで上昇すると考えられる。
一方、ムネ肉は、12月の需要がモモ肉中心であることや、輸入品の増加、生産が順調なことなどが重なり12月下旬に310~320円前後(日経平均で300円~310円前後)まで下げると考えられる。