農林水産業の輸出力強化WGを開催、5月の中間取りまとめに向け議論開始

政府は2日、農林水産業地域の活力創造本部のもとに立ち上げた「農林水産業の輸出力強化ワーキンググループ」(以下、WG)の第1回会合を開いた。総合的なTPP関連政策大綱の検討継続のうち、輸出力強化の推進方策の取りまとめをめざし、ニーズ・需要面・販路開拓、供給サイド、流通・貿易、物流、輸出環境整備の各課題を検討、議論していく。同WGは5月に中間取りまとめへ向けた議論を開始するため、2~3月に月2回程度、有識者からのヒアリングを行い、4月にテーマ別検討を行う予定だ。また、検討に向けた論点整理と輸出促進策の実行に向け、関係各省が連携する輸出力強化タスクフォースを設置する。

初回会合の2日は、ワーキンググループに参加する10人の有識者から、現状行っている輸出の取組みや課題が報告された。有識者としてWGに参加しているJA全農ミートフーズの木村敬社長は、「食肉の販売事業を世界で展開し、ロンドンなどで直営店舗、香港で直営焼肉店を展開している。牛肉の輸出については、BsEの影響で中断するなど、リスクがある中で伸ばしてきている。今後もいろいろな課題があるが、是非このWGで議論をしていきたい」と取組みを報告した。

有識者として、木村社長のほか、三越伊勢丹HDの大西洋社長、ANA Cargoの岡田晃社長、三菱商事の小島順彦会長、庄内こめ工房の齋藤一志取締役、ヤマト運輸の長尾裕社長、ファミリーマートの中山勇社長、北海道漁業協同組合連合会の西英司副会長、青森県りんご輸出協会の深澤守事務局長、キッコーマンの茂木友三郎名誉会長の10人が参加、それぞれ取組みを報告した。

木村社長が提出した畜産物輸出事業の取組みに関する資料では、全農グループの目指す方向として、海外における「全農ブランド」の確立に向け、3方向の拡大を行うとしている。その内容は、①自ら売場拡大②販売チャネル拡大③輸出国拡大–の3点。

様々な具体的な取組みを示したうえで、今後の輸出拡大に向けては、①新たな販売・物流拠点の設置や、新たな外食店舗や直売所の展開、現地ニーズの把握、現地の販売促進活動、実需者への直接販売の強化、全農グループの知名度向上②日本産畜産物の差別化とブランド化、外国産WAGYUと、日本産和牛の明確な差別化③インターネット通販等新たな販売手法への挑戦、④近く解禁が予想される諸国(台湾、ブラジルなど)での早期市場開拓⑤二国間協議中諸国(豪州、中国など)での現地高級食肉流通調査や提携先開拓⑥イスラム圏(UAE、インドネシアなど)に向けたハラル対応施設との強力体制の強化⑦流通コストの削減(冷凍輸出、船便の活用など)⑧ロース・ヒレ等特定部位以外の需要促進、カッティングセミナーでの商品化技術提供や、クッキングセミナーの開催–が必要としている。