消費者・生産者委員が原料原産地表示の義務要件見直し求める-表示検討会

農水省・消費者庁は1日、第2回加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会を開き、消費者委員、生産者委員からの意見を聞いた。消費者、生産者委員からは、原料原産地表示の義務対象品目の選定に当たり、要件(原料の品質の差異が、加工品の品質に大きく反映される、単一の農畜水産物の重量の割合が50%以上)により、対象の食品は加工度の低い一部の食品に限定されていると、義務化拡大に当たっての課題を挙げた。なお、次回(3月31日予定)は、事業者側委員の意見を聞くとともに、事業者について行ったヒアリング結果が発表される予定。

今回の検討会では、最初に過去の検討の経緯について事務局から説明が行われた。その中では、これまでの論点・課題として、①原料原産地表示の目的=消費者が食品を購入する際の合理的な判断に資するために、消費者へ正確な情報提供を行う。表示により安全を担保するものではない、②国際整合性=国際的ルール(コーデックス規格、TBT協定:貿易の技術的障害に関する協定)との関係、③表示対象品目=2001年の制度創設以来、加工食品の義務表示対象品目は随時増加し、現在は22食品群と個別の4品目、④任意表示=現在、義務表示とは別にガイドラインに基づく自主的な表示も行われる、⑤表示の実行可能性=食品事業者が表示を行う際の困難さや問題点–が示された。

その後は、消費者側、生産者側委員から意見が出された。消費者委員からは、「加工食品の原料原産地表示の拡大を前提とした検討である」ことから、現行の義務対象品目の選定要件の見直し、商品名に名称が付された冠食品はその原産地表示を義務付けること、加工食品の原料原産地表示制度を担保するトレーサビリティーを検討することを求めた。

JA全農は、TPP大筋合意後にJAグループとして、①速やかに原料原産地表示義務の拡大を実現すること、②外食・インストア加工でも原料原産地などの消費者への情報開示を徹底すること-を提案した、とTPP後の対応を説明。またベーコン、ハム、オレンジジュース、野菜ジュースを例に、表示義務対象商品ではないため、原材料が輸入品であっても原産地情報が消費者に伝わらないと指摘した。その上で、選定2要件の下で、対象の食品は加工度の低い一部の食品に限定され、その表示対象の原料は重量順で第1位(50%以上の場合)のみになっているとし、要件の見直しを求めた。

なお、次回は事業者側からの意見が出されるとともに、農水省が実施した事業者を対象にしたヒアリング結果が報告される予定。