事業者側は「義務化ありきでなく自主的な取組みの推進」求める
農水省と消費者庁は3月31日、第3回加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会(座長・森光康次郎お茶の水大学大学院教授)を開き、生産者、事業者、消費者の7名の委員が意見を述べた。また消費者調査(16年3月実施)、事業者調査(16年2~3月実施)の概要が報告された(後日掲載)。
各委員からの意見では、大括り表示、可能性表示には消費者、事業者双方から反対の声が上がった。また中畜の近藤委員は、品目の拡大について「品目ごとに実態と実行可能性を踏まえ検討すべき。その際、加工品単品だけではなく外食、中食も一体で検討すべき」とした。事業者委員からは、「義務付けありきではなく自主的な取組みで、かつインターネットなどを柔軟な取組みを推進すべき」との意見が出された。次回は4月27日に開催し、外部有識者のヒアリングを行う。
検討会で、生産者側の岩岡宏保全国消費者団体連合会共同代表は、原料原産地表示が義務付けられている22食品群と4品目でも、畜産加工品で「表面をあぶったもの」は義務付けられるものの、加工度が高くなると対象とならず、「牛たたき」は義務、「ローストビーフ」は任意となる事例を挙げ、「消費者にとって納得いかないものもある」と指摘した。また、要件の「重量割合50%以上」については残すべきで、法令が求める以上の自主的取り組みも拡大すべきとした。今まで検討されてきた①切替産地を列挙する可能性表示は反対、②「国産」「外国産」または「輸入」などの大括り表示は、品目ごとに検討すべき、③輸入中間加工品の原料原産地表示は、コストアップになり義務化は困難との考えを示した。
中央畜産会の近藤康二常務は、加工団体をはじめ畜産全体が会員と紹介した上で、「品目ごとに実態を踏まえ、実行可能性に重点を置き決めるべき。その際には、関係する団体、事業者の意見を述べる場を設定して欲しい」と述べた。また、「対象品目では、的確に情報提供すること、事業者間の公正な競争を確保するため、外食、インストアなど中食も加工品と同等にすべき。食肉加工品では、外食、中食で輸入原料の使用が多く、単体で販売される加工品と一体で検討してほしい。また、一定の移行期間を設け混乱や費用の高騰を避けるとともに、中小企業への情報提供や相談対応が必要」と指摘した。