TPP国会審議開始、野党からは情報開示不足、党公約・国会決議違反との批判も

TPP承認および畜産物価格安定法改正など含む関連法案に関する国会審議が始まった。衆院本会議が5日午後開かれ、岸田文雄外相と石原伸晃経済再生担当相による両法案の趣旨説明と、それに対する質疑が行われた。質疑では、TPPの合意内容について、野党からは「重要5品目」の関税撤廃の例外を求めた国会決議に違反しているとの指摘や、TPP交渉自体が12年衆院選で「TPPへの交渉参加に反対」を掲げた自民党の公約に違反していること、農業への打撃が最大2,100億円とする政府試算は過小評価し過ぎるとの批判が相次いだ。さらに、これまでの交渉過程および結果を検証・審議するに当たって、政府からの情報開示が不足していること、当時の交渉責任者だった甘利明前経済再生担当相や、7日付で英国大使に就任した鶴岡公二TPP主席交渉官が不在となるため、“十分な審議ができない”と非難の声も挙がっている。

これら質問に対して、安倍晋三首相や石原経済再生担当相は、「農産品の2割について関税保護を維持しており、(合意内容は)国民との約束は守られたものと判断している」「国会決議との関係は国会で最終的に判断してゆくが、政府としては決議の趣旨に適うと認識している」「秘密保護の観点から交渉内容は公表しない取り決めとなっているが、この間、地方説明会などを開いており、国民からの心配についてこれからも丁寧に説明してゆく」と従来の発言を述べるにとどまった。今後、審議の場はTPP特別委員会などに移ってゆくが、与党は4月中の衆院通過を目指したい模様だ。