熊本で震度7の地震、物流面でハム・ソー各社に影響、各社で影響など調査中

熊本県益城町で14日夜、震度7の揺れを観測した地震と余震の影響により、九州自動車道、南九州自動車道などの高速道路や一般道の一部区間が通行止めとなった。地震の影響により、ハム・ソー各社では一部地域で物流の遅れなどが発生している。

福留ハムによると、同社の熊本工場(熊本県菊池市七城町蘇崎1196-3)は15日朝から通常通りの稼動を開始しているという。工場内の事務所で棚から書類等の落下があったほかは、工場内は水や電気などユーティリティも問題なく、通常の製造を行っている。また従業員の安否確認も出来ており、自宅の片づけのため2名が欠勤しているほかは、全従業員が出社し、業務に当たっているという。なお、物流面では道路が一部寸断されているもようだが、「状況を調査中である」という。

伊藤ハムによると、従業員や建屋に大きな被害はない。グループ会社の伊藤ハムウエストの九州工場(佐賀県三養基郡基山町長野970−1)でガスが出ないなどの影響が出たが、すぐに復旧し通常通り製造を行っている。熊本営業所では全従業員の安否確認が取れたが、自宅の片付けなどにより2名が欠勤している。

丸大食品では熊本営業所の従業員の安否確認も取れており、特に大きな影響は出ていないという。また、日本ハムも大きな影響は出ていないが、道路の寸断などにより一部の地域で物流の遅れが発生している可能性があり「詳細については調査中」という。プリマハム、スターゼングループも、工場、食肉処理場、関連牧場などで大きな被害は出ていない。

 食肉センターは通常通りの稼働へ

一方、御船町で馬の肥育から食肉加工まで一貫生産を手掛けている千興ファームによると、従業員のけがは確認されなかったものの、震源地に近いため15日は休業、翌16日から事務所・工場の点検と後片付け作業に入るという。宇城市豊野町の㈱熊本中央食肉センターでは15日は通常午前8時30分からの操業開始を1時間弱遅れて開始したが、従業員などけがもなく、今週からは通常通りの稼働できる見込みとしている。熊本県畜産流通センター(菊池市)も従業員にけがはなく、15日現在も通常通りの稼働を行っているところだ。

日本食肉格付協会によると、熊本県内の各事業所でも従業員のけがなど大きな被害はみられず、一部で開始時間が遅れたものの、通常通りの作業に入っているという。日本養豚協会(JPPA)でも県下の会員では豚舎の倒壊などはみられず、今のところ水道・電気などの心配もないとしている。そのほか、マルハニチロによると、菊陽町のマルハニチロ九州では人的な被害はなく、15日は工場設備を点検するため生産を停止しており、「15日午前中の段階では大きな設備被害はなく、今後の生産に支障を来すことはなさそう」(広報)という。日本水産の関連会社の日豊食品工業(熊本市南区)も「人的な被害はなく、生産設備をはじめ工場の設備面で大きな破損などはみられない。15日は点検に充てて、稼働はしていない。今後の生産への影響はほぼないとみている」(日本水産広報)としている。

九州農政局に現地災害対策本部、畜産業への影響など全容解明には時間-農水省

農水省は15日、地震発生を受け森山裕大臣を本部長とする緊急自然災害対策本部を設置、午前9時30分に初会合を開いた。「まずは人命救助やライフラインの確保が最優先であり、そのあたりの情報を収集しているところだ」(同省畜産部)。地震発生から一夜を明けた午前の段階で、混乱する現地からの情報を把握するのがなかなか難しい状況だったが、午後になると、断片的ながらも関連情報が入るようになった。「被害地域はどちらかと言えば住宅地で、畜産の被害報告はあまりないようで、現地でも比較的冷静に受け止められている印象だ」(畜産部)。ただ、国道が崩壊したほか、ライフラインの一部が寸断されたことから、今後の生活や事業活動への影響が懸念される。現地災害対策本部が置かれている九州農政局の畜産担当者は「ライフラインの影響が出ており、生産現場でも何らかの影響が出るかもしれず、予断を許さない状況。情報収集に努めたい」と実態把握に全力を挙げる。15日未明の段階で、約1万5,000世帯で停電が、4,600世帯でガス供給停止が報告されている。