今後の肉牛出荷は黒毛が微減、交雑は昨対増の見込み、乳雄供給はタイト続く

家畜改良センターが20日に公表した個体識別情報の全国の畜種別・月齢別飼養頭数から今後の肉牛出荷を推測すると、黒毛和種はこれから秋口にかけて3%前後前年を下回る出荷が予想される。また交雑種は一昨年よりは少ないものの昨対では6%前後多めの出荷が予想されるが、乳雄はさらに8%前後下回って推移すると見込まれ、依然として肉牛全体の供給はタイトな状況が続く見通しだ。

3月末現在の全国飼養頭数のうち肥育後期・出荷適齢期を迎える頭数について過去の同月の頭数と比較した。相場が上昇する夏場の需要期に向けた早出し・繰延べ出荷や、飼養頭数には繁殖用への保留も一部含まれてくるため、前年の出荷実績との比較はむずかしいが、5月から10月ごろにかけて出荷時期を迎える黒毛和種(22~27カ月齢)の頭数は22.4万頭となり、前年同期に比べて2.8%少ない水準となっている。とくに出荷頭数が増える7月の単月では前年同月比では2.4%減だが、早出しなどを考慮しても1カ月当たり4万4千頭前後(1.5%減)の出荷が予想される。

これに対して交雑種(19~24カ月齢)の飼養頭数は10.2万頭で前年同期を6.0%も上回っている。だが、14年比では3.3%減少し、過去5年平均比では0.9%増にとどまっている。13年から乳用種への黒毛和種交配率が高まり出しており、そのことが飼養頭数の増加につながっている。6~8月に出荷時期を迎える頭数は前年同期より5.2~8.4%増と多く、需要期にかけて月2万頭台の出荷も考えられる。乳雄(12~17カ月齢)は9.3万頭となり前年同期から8.4%も下回り、同期間の飼養頭数として初めて10万頭を下回った。交雑種と同様に6~8月に出荷時期が想定される頭数は前年よりも5.2~13.5%少なく、夏場にかけて多くても月1万6千頭強の出荷にとどまりそう。酪農経営の戸数減少や交雑種の交配率の増加に加えて、北海道を中心に雌雄判別精液を利用した人工授精が増えていることから、乳雄の出荷が増加に向かうのは相当の時間がかかるとみられる。