骨太方針策定PTが緊急提言、生産者が輸出すると儲かる構造を-自民党

自民党は11日、農林水産業骨太方針策定PT(小泉進次郎委員長)を開き、これまでの論点整理をもとに具体的な施策項目を整理し、日本再興戦略など今後の対策への緊急提言を議論した。緊急提言(案)は、今後委員長一任でとりまとめられる。同PTのとりまとめは今秋を予定しており、今後も各課題の議論は継続される。

提言では、農業イノベーション関係、人材力強化関係、輸出力強化関係の3点が挙げられた。輸出力強化関係では、①日本の食文化・高品質な農産物等の外交行事等での紹介・活用の促進を通じた外交ツールとしての農業の潜在力の発揮②生産者の所得向上につながる輸出基盤拡大のための、官民それぞれの組織・体制の抜本的強化③日本産品の品質を担保する仕組み(輸出JAs)や、国際的に通用する日本初の食品安全管理規格の創設と、これを支える人材の育成④卸売市場の輸出拠点化や複数県にまたがる輸出拠点整備の推進–が挙げられた。このうち、生産者の所得向上につながる輸出基盤拡大について、小泉委員長は「今の構造では、日本から出た後になって(現地で)かなりの利益が出ている。生産者が輸出をすると儲かるという構造に変えていかなければならない」と課題を示した。

提言のもととなった輸出促進の論点整理では、日本食の市場の創出などを担うマーケティング体制を整備、海外市場での「日本」ブランドを確立などの今後の議論の方向性を示した。また流通・物流・販売では、オールジャパンでの販売力を強化することや、地理的表示を活用したブランド化、物流の低コスト化、高度化の推進などを挙げた。生産面では生産者の輸出マインドの向上、輸出環境では生産者が輸出に取組みやすくなるよう、輸出証明書の取得手続きのオンライン化、生産者が輸出に取組むサポート体制の整備などのほか、放射性物質に係る諸外国の輸入規制の緩和・撤廃や戦略的な動植物検疫等の推進も議論する。環境整備では国際的にも通用する日本初の規格・認証の構築にもふれられている。