牛タンの4月輸入量は15%減、供給不足と旺盛な需要で相場は高騰
貿易統計によると2016年1~4月の牛タンの輸入量は2.7%増の1万1,098tとなった。ただ、4月は15.2%減の3,032tと減少が大きい。4月のチルドは13.3%増と増えているものの、フローズンは26.7%減と大きく減少している。日本国内では、牛タンの消費が好調で、牛タン専門店が再び出店を加速させているとともに、量販店でも好調な焼材需要の中で、焼肉セットとして売られるほか、厚切り牛タンなど単体でも販売されている状況だ。その中で、牛タンの仲間相場が急騰している。
本紙の関西輸入牛内臓相場(フローズン)でみると、昨年6月の相場は1kg当たりで米国産が1,180~1,230円、豪州産が800~1,000円、NZが750~850円だったが、今年の6月3日現在では米国産が1,600~1,650円、豪州産が1,550~1,600円、NZ産が1,450~1,500円まで上昇している。卸からは、夏の需要期に向けて、「1,700円に上昇するのではないか」との声も聞かれるという。
高騰の要因は、需要と供給のバランスが崩れていることに尽きる。供給面では、豪州では2016年のと畜頭数(成牛)は15%前後減少するとの予測があり、豪州の牛タンは全量日本に輸入されているため、この分、確実に日本への供給が減ることになる。また、米国では後半にかけて生産量(出荷頭数、第3四半期6.4%増、第4四半期3.7%増)が増えてくるが、全量日本に来る訳ではなく、米国ウォルマートでも牛タンが販売されるなど米国内などにマーケットができ、競合との取り合いとなっている。
また需要面では、牛タンは、牛カルビなどと違い代替の余地がない商品だ。牛カルビが高騰して手に入らなくなっても、何とか別の部位で代替することは可能だ。しかし、牛タンは、例えば豚タンで代替することはできない。しかも、好調な焼肉業態とともに、牛タン専門店はいまや仙台・東日本に限らず、関西地方にも出店するなど、外食では牛タンが再びブームになっている。さらに、量販店店頭では、焼材がほぼ周年商材として売られる中で、夏の需要期に向けて牛タンの販売が多くなっている。バラ単品などでは、価格が取りづらくなっている中でも、牛タンは価格が取れる商材で、牛タンを加えた焼肉セットにすることで、1パック1,590円(本体価格、牛バラ、牛ハラミ、牛タンの合計600g)と1,000円を大きく超す売価の設定も可能。牛タン単体でも、100g498円(同)で販売される。
このように牛タンのタイトな供給、拡大する需要のなかでは相場の下げ要因は見当たらず、この夏の焼肉シーズンも、現状の高値が続くと見込まれる。