【加工品インタビュー㊦】50%増と「旨包ボリュームリッチ」好調-伊藤ハム
伊藤ハムは今春の新商品として、消費者に認知されている既存ブランドから減塩商品やボリューム感のある生ハムなどを展開している。販促では4月からユニバーサル・スタジオ・ジャパンへ7千人を招待するキャンペーンを実施している。7月からは「The GRAND アルトバイエルン」を対象としたキャンペーンなど3つの販促を予定している。現在の状況と今後の展開について、玉井康史加工食品事業本部事業戦略統括部家庭用企画部部長に話を聞いた。
–現在の状況について
昨年末のWHOの発表以降厳しい状況にあり、昨年の年末に少し回復したことから影響は限定的と考えていたが、ハム・ソーセージはまだ苦戦している。ただ、市場全体の状況を考えると健闘できていると感じている。
調理加工品はハンバーグ群、ピザ群などが好調に推移している。とくにハンバーグ群は、「旨包ボリュームリッチ」シリーズのハンバーグが好評で、全体的な売上増にも貢献できており、値ごろ感とボリューム感、美味しさ、レンジで温めるだけで食べられる簡便さが消費者に支持されている。今年は競合他社からハンバーグ商品が発売されて競争が激しくなっているが、「旨包ボリュームリッチ」シリーズは直近でも前年比50%増と伸長し、ハンバーグ群全体でも15%増となっている。
「旨包ボリュームリッチ」シリーズは今春から新たに中華メニューを展開しており、今後は洋食や和食アイテムも展開することを考えている。値ごろ感と美味しさを担保するため、価格帯は398~498円あたりで探っていくが、必ずしも価格にもこだわっているわけではない。満腹感を得られるボリューム感と美味しさが支持されており、そこは常に追求していきたいと考えている。今後は商品のリニューアルを計画しており、引き続きシリーズの強化に取り組んでいく。
–その他の好調な商品は
ピザ群では、ナポリ風の生地が特長の「ラ・ピッツァ」シリーズと価格訴求の「ピザガーデン」シリーズの2ブランドで市場の異なるニーズに対応しており、両ブランドとも予想を大幅に上回っている。「ラ・ピッツァ」シリーズは主力ブランドとして、ブラッシュアップを進めたいと考えている。「ピザガーデン」シリーズは価格以上に品質を追求しており、それが消費者に支持されているようだ。ピザ群全体では2ケタ増と伸長している。
消費者に認知されている既存ブランドの減塩商品を今春から展開しており、4月は順調に拡大し、現在も計画通り推移している。過去にも減塩率を訴求した商品などを展開していたが、美味しさなどが理由で継続した展開ができていなかった。今回は「PRIMEあらびきグルメ」シリーズと「朝のフレッシュ」シリーズで減塩商品を展開している。認知度の高いブランドということもあり、美味しさの担保がされていることから、消費者が手に取りやすかったのではないかと考えている。流通の店頭は健康志向のコーナーを取る傾向があるが、そのコーナーでの展開に加えて、通常品と並べて比較購買する陳列など小売店での様々な売り方提案にも貢献できると考えている。
生ハムでは、ボリューム感のある「しっとりまろやかもも生ハム切り落とし」といった今までになかった形態にチャレンジした。生ハムは市場全体が伸び、流通の売り場を見るとワインやチーズが伸びているので拡大したいと考えており、順調に推移している。いろいろな用途があり幅広い売り場で展開できるので、今後もラインアップを揃えるなど強化を図りたい。
–販促の展開について
4~6月に実施している「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン貸切ナイトへご招待!」キャンペーンは消費者からの反応があり、関西エリアからの応募が多いが予想以上に全国からの応募も多い。それに加えて、7月から「The GRAND アルトバイエルン」を対象に「夏の醍醐味旨さ体感」キャンペーン、「醇」を対象に「発売25周年『醇』ご愛顧感謝」キャンペーン、「ベルガヴルスト」シリーズを対象に「香りを楽しむ!大人の選択」キャンペーンの3つの販促を実施し、認知度の向上と購買層の拡大を目指す。
旗艦ブランドの「The GRAND アルトバイエルン」では年間を通してテレビCMを投入していくほか、店頭での関連を強めて消費者の認知度向上に取り組んでいきたい。積極的な販促を展開して、各商品で前年から5~10%ずつは増やしたいと考えている。