畜産統計子取り用メス牛が8,600頭増加、6年ぶり増加で減少傾向に歯止めか
農水省がまとめた畜産統計によると(16年2月1日現在)肉用種の子取り用雌牛は58万8,100頭と10年以来、6年ぶりに増加に転じた。10年の68万3,900頭から年々減少したことに伴い、肥育もと牛価格は高騰を続け、肥育経営を圧迫、さらに枝肉価格の急騰につながっている。これに対し、農水省は技術面、経営面での支援や増頭運動など様々な取組みで繁殖雌牛の増頭に努めてきた。また子牛価格の高騰が大手事業者の参入や繁殖経営の増頭を促し増頭につながった。
一方で国内の牛肉市場に対しては、高騰する国産肉用牛の需要に食い込む形で、TPPでの関税削減を契機に海外の高級牛肉を売込む考えもあるようだ。輸出促進の取組みでは外国産のWAGYUとの競合の中、マーケットの拡大へ向けて様々な努力が行われている。価格の高騰によって国内外の日本産牛肉、特に黒毛和種の需要を逃さないためにも供給と価格の安定が非常に重要だ。
まだV字回復の増加局面に移ったと言い切ることはできないが、16年を転機に繁殖雌牛の増加が継続し、安定的な再生産が行われることが期待される。