2017年度予算概算要求の議論開始、24日の閣議決定目指す-自民農林合同会議
自民党は10日、農林水産戦略調査会・農林部会合同会議を開き、2017年度農林水産関係の予算概算要求の議論を開始した。16年度第2次補正予算額を含め、盆休みをはさんで今月24日に予定される閣議決定までに要求額を固めたい考えだ。会の冒頭、西川公也農林水産戦略調査会長は「次の閣議は8月24日になると思われ、それまでに徹底的に議論してゆく。8月26日には党農林合同会議が予定されており、先生方の理解を得られる数字をしっかりと獲得してゆく」「補正予算については、昨年が4,008億円でうちTTP関連が3,122億円だった。TPPが今後どうなるか心配する声があるが、私どもは農林産業を成長産業に乗せてゆく方針で、これは引くことができない話であり、この3,122億円をにらみながらどんな数字(予算規模)でゆけばよいか議論することになる」と述べた。
今回の合同会議では、例年通り、農水省から概算要求に向けた主要事項案が提示された。主要事項は①担い手の農地集積・集約化等による構造改革の推進②水田フル活用と経営所得安定対策の着実な実施③強い農林水産業のための基盤づくり④農林水産業の輸出力強化と農林水産物・食品の高付加価値化⑤食の安全・消費者の信頼確保⑥人口減少社会における農山漁村の活性化⑦林業の成長産業化・森林吸収資源対策の推進–の7本柱。このうち、③では畜産・酪農の競争力のため畜産・酪農経営安定対策の実施や、放牧の推進など自給飼料の生産拡大のための事業が盛り込まれる方向だ。また④では輸出に取り組む事業者へのサポート体制の強化や、海外規格などとの相互認証、日本発規格の国際化、国産農林水産物の消費拡大、食品ロス削減などに向けた取り組みが、⑤ではG7サミットで取り上げられた畜水産分野の薬剤耐性対策の推進などが措置される予定だ。
なお、17年度の概算要求基準は前年度に引続き歳出の上限枠は示さず、公務員人件費など義務的経費は16年度予算額の範囲内で、用途の自由度が高い裁量的経費は16年度予算額の1割に当たる事業を廃止・縮小するが、そこをベースに別枠の「新しい日本のための優先課題推進枠」として3割増しの予算要求が可能となる。
TPP関連では「総合的なTPP関連政策大綱」のなかで▽生産者が有利な条件で安定取引を行うことができる流通・加工の業界構造の確立▽原料原産地表示▽肉用牛・酪農の生産基盤の強化策のさらなる検討–など12項目の検討継続事項が盛り込まれており、これについては概算要求を経た9月から本格的な議論を開始する方向だ。