市場協会がトップセミナーを開催、HACCP義務化の現状など講演

日本食肉市場卸売協会(杉本正会長)は24日、東京・千代田区の中央大学駿河台記念館で第34回経営トップセミナーを開催した。セミナーでは、厚労省監視安全課HACCP企画推進室の蟹江誠室長が「HACCPをめぐる現状と課題について」、畜産近代化リース協会の塩田忠理事が「豚肉のトレーサビリティの現状」、前食品安全委員会事務局長の姫田尚氏が「食品の安全・安心をめぐる話題」でそれぞれ講演した。

セミナーの開催に当たり、杉本会長は「TPP交渉については、関連法案について審議される予定ではあるが、米国の大統領選挙や関係12カ国の機運を見て準備をしていかなければならない。食肉卸売市場としては、一頭でも多く集めて信頼される建値を立てたい。繁殖雌牛が16年度には15年度から8,000頭増加し、これは一条の光だと思う。日本国民に安全・安心な動物性タンパク質を供給する使命を果たしていきたい」とあいさつした。

蟹江室長は、「HACCPをめぐる現状と課題」について講演、と畜場、食鳥処理場はHACCP導入割合が高く、枝肉ふき取り検査の一般生菌数・大腸菌群数も減少の傾向となっていることを説明。HACCPによる衛生管理が有効であることを示した。

HACCP義務化の内容を検討するため、現在行っている「食品衛生管理の国際標準化に関する検討会」については直近の状況として、9月上旬にもう一度事業者ヒアリングを開催、9月後半には「取りまとめ案」に関する討議を行うとしている。

質疑応答では、「義務化はいつごろになるのか」との質問に、「まだ予定が決まっているわけではないが、今年度(16年度)は検討会で全体の方向性の取りまとめを行い、その後厚労省で法制的にどうするかの検討が必要になる。来年度(17年度)はその検討を行い、早くても18年度に関係規則などの改正となるのではないか」とし、また「改正と同時に施行はありえない。公布されてから、何年間か猶予期間があってから完全施行となる」と、完全施行はオリンピックに間に合わない可能性が高いという。