8月の黒毛和種81万円と再び過去最高に、出荷減で買い集中-機構・素牛価格

8月の肉用素牛価格は、黒毛和種で1頭当たり81万円と、再び過去最高を記録した。8月は需要期で比較的に出荷が多いにもかかわらず、全国の子牛出荷頭数が2万頭を切ったことで、頭数が集まる鹿児島、北海道などの主要市場に買いが集中し、前月比で3万円弱上昇した。これが落ち着くかは不透明だが、すでに9月11日までの段階で平均価格は82.9万円に達している。またホルスは前月比・前年比とも下回ったが、交雑、褐毛は前月を上回り、こちらも過去最高値を付けている。

農畜産業振興機構が15日にまとめた2016年8月の家畜市場の肉用子牛の取引価格によると、黒毛和種は前年比で23.3%高の81.0万円、褐毛は33.0%高の75.4万円、交雑種は6.5%高の40.9万円、ホルスは1.9%安の21.3万円となった。ホルスは前月比でもわずかに下げるが、黒毛、褐毛、交雑とも過去最高を更新した。

和牛の枝肉相場は高水準を保ちながらも8月は前月の水準を下回るなど、高値相場に末端がついて来れず、若干の陰りが出ている。黒毛の子牛価格は、4月の79.7万円をピークに、7月には78万円まで下げた。枝肉相場の動向から、素牛もこのままわずかながらも下げ相場が続くと見られていたが、8月は再び上昇した。

黒毛子牛では、8月は、年末に次ぐ需要期で肉牛出荷も多く、空いた牛舎に補充するため、子牛の購入意欲は高い。しかし、今回は出荷頭数が全国で2万頭を割込む中で、比較的頭数の集まる主要市場に買いが集中した。この結果、ホクレン十勝地区家畜市場で81.0万円、鹿児島県曽於中央家畜市場で86.0万円と80万円を超す相場となった。曽於中央家畜市場によると、「子牛の出荷は8~9月に少なく、一方で肉牛出荷は多い月になる。さらに今回の8月は全国的に子牛出荷が少なく、岩手、青森、茨城など全国から購買者が集まった。7月のマルキンをみても肉専は23万円の収益があり、素牛を購入する資金があったと考えられる。また、鹿児島の増体の良い血統も評価されている」と話している。今後については、「枝肉相場次第の面はあるが、繁殖基盤の強化のためにも一定の子牛価格は必要。そう考えると、年内は多少の上下があるとしても、この水準を維持するのではないか」とみている。

なお、9月11日まで平均価格は82.9万円に上昇しており、9月も8月をさらに上回る可能性が高い。前述の主要市場はまだ開催されていないが、今後、こうした主要市場でどんな相場を付けるのか注目される。

一方で、ホルスは前年比でも1.9%安と昨年12月の25.2万円をピークに下げ基調が続く。7月マルキンでは2.2万円の赤字で概算払いが行われるなど収益が悪化している。米国産チルド牛肉が潤沢に供給されていることが主な要因と考えられるが、この状況はしばらく続き、子牛相場も軟調が続く見通し。