国産鶏モモ肉相場が上昇、鍋需要の中で野菜高騰など外部環境も影響か

国産鶏モモ肉の相場は、日経平均を見ると25日に640円と、10月1日の594円と比べ大きく上昇している。昨年の10月は、日経平均では1日641円、15日654円、31日643円で月間の平均では648円だった。年間を通して高値を続けた昨年は10月に大きな上昇は見られなかったが、ことしは鍋需要のスタートに伴って上昇を始め、昨年に近い水準まで上がり始めている。例年年末の最需要期に向けて相場は上昇基調となるが、国産品ではことしは需要面、生産面の両面から上昇要因があり、モモ肉については、11~12月は前年と同じ程度の相場に上昇する可能性も出てきた。一方、価格帯からブラジル産鶏肉など輸入品の状況に影響されやすいムネ肉については、輸入品在庫数量の多さから大きな変動は考えづらい。

ことしは鍋需要が増す中で野菜が高騰しており、1食の総額を抑えるために鶏肉が好まれていると見られる。10月に入ってモモや手羽元などへの引合いは強まっており、この冬は鶏肉への需要が強い状況が続きそうだ。また、生産面では台風の影響や増体の不良があり、需要の増加に対応しきれない状況となっている。生鮮での数量が追い付かず、一部凍結品を販売に回す例もあるなど、クリスマス、年末の最需要期に凍結品が不足するなどの影響も懸念される。

鶏肉需要が増す中で、輸入品では大量輸入が続いており、在庫数量も過去最高水準となっている。国産への影響としては、ブラジル産など輸入品は価格帯の近い国産ムネ肉相場に影響を与えていると見られるが、堅調な鶏肉需要に支えられて国産モモ肉相場への影響は小さい。需要期の続く年末までは、国産モモへの影響は小さいままだと予想できるため、年末までに輸入品在庫の調整がどの程度進むかが重要になる。

国産輸入含め鶏肉需要は、ことしに限らず年々増加を続けている。背景には牛肉や豚肉が不測の高騰を繰り返す中で、安定して他の食肉に比べ安価であることがある。農畜産業振興機構が公表している鶏肉需給の推定出回り量は、15年度は200万tを超えた。16年1~8月の合計出回り量は15年同期を上回っており、堅調な推移を続けている。需要増に伴って、一時期ほどの安値で買える食肉ではなくなっているものの、牛肉、豚肉に対する価格優位性が崩れるほどではなく、鶏肉への堅調な需要は今後も続くと見られる。