10月黒毛和種81.8万円と最高値を更新、11月はさらに上昇も-機構・素牛価格
10月の肉用素牛価格は、黒毛和種で81.8万円と、過去最高だった9月を3,677円上回った。16日現在で11月は83.2万円に達しており、11月もさらに上昇すると見込まれる。出荷頭数が前月の2.7万頭から2.4万頭に減少する中で、鹿児島曽於中央は86.8万円、肝属中央が83.1万円、ホクレン南北海道で84.3万円、ホクレン十勝が83.4万円など主要市場で軒並み高値を付けた。繁殖農家が高齢化し出荷が少なくなる中で、主要市場に買いが集中し高値は解消されそうにない。
農畜産業振興機構が16日にまとめた2016年10月の家畜市場の肉用子牛の取引価格によると、黒毛和種は前年比で21.5%高の81.8万円、褐毛は32.5%高の75.8万円、交雑種は7.0%高の41.1万円、ホルスは17.9%安の19.3万円となった。前月比では、褐毛で1万7,323円安、交雑はほぼ前月並、ホルスで5,138円安と、それぞれ下げ基調だが、黒毛和種のみ3,677円高と続伸している。
和牛の枝肉相場は、10月も精肉ギフト向けの銘柄牛の引き合いがあるとともに、需要期に向けた手当てが始まる中で、出荷減による和牛不足で高値を付けており、資金面も背景に導入意欲が高かったとみられる。
黒毛和種では、特に主要市場での価格高騰が目立つが、鹿児島県中央市場では、「7~8月は少し落ち着いたが、その後上昇傾向が続く。出荷が少ないことと、鹿児島県では1年半後の共励会に向け導入意欲が高い。枝肉相場も上げ基調で、その面でも素牛を求める農家が多い。行政では生産対策を行っているが、それ以上に繁殖農家の高齢化が加速し追い付いていない。また繁殖メス牛は数字的には増加しているが、多くは肥育一貫経営での増頭であり、素牛市場を支える小規模な繁殖農家の頭数は増えていないのが現状だ」と、繁殖雌牛の増頭が市場出荷に反映されていない現状を訴える。このため、今後の素牛相場は「高値安定にならざるを得ない」としている。
ホルスは下げ傾向が続く。9月マルキンでは赤字が5.9万円と、前月からさらに赤字が拡大し収益が悪化している。このため導入意欲が低下していると見られる。