月初の特売需要強まる、国産豚部分肉の需給締まり、枝肉相場も強含む
「勤労感謝の日」が過ぎ、関東甲信では記録的に早い初雪・積雪となる寒さも一層強まったことで、例年なら牛肉の需要が強まりだす時期だが、末端の売れ行きは豚肉と鶏肉中心の動きとなっている。とくに11月下旬~12月上旬にかけてはスーパーの新規開店や周年の協賛セールが多く、末端の特売が国産を中心に豚肉に集中しており、パーツの需給は締まっている。先月下旬まで余剰感が強かったロイン系も古い玉は一層され、在庫圧迫は解消されている。とりわけ国産生鮮ものはバラを中心に中間流通の手当て買いも強く、関東3市場の枝肉相場は20日の週から上物で450~460円(税抜き、以下同)と強含みだしている。このまま12月前半にかけて500円台まで上昇する可能性があるが、ことしは曜日回りが良く、カット筋も年末ギリギリまでの稼働日が見込まれるため、12月の相場動向は、「高値維持」もしくは「下旬から下落」の見方に分かれている。
個人消費が低迷していることから、末端では単価の高い牛肉の特売が組み難く、上述のように大手スーパーを中心に12月月初は豚肉の特売計画が多いようだ。11月下旬に入りパーツの発注が増えており、バラを中心に需給はタイトとなっている。これまでパーツのなかでは比較的余剰感があったロース、カタロースも特売用の需要が増え堅調な動きとなっている。スソ物部位も加工筋の需要が強く、この間の枝肉相場高が続いたことで凍結玉が不足しており、需給はタイト感を強めている。
関東3市場の枝肉相場は、今月中旬に入ってと畜頭数が落ち込んだことから11日以降、480円を超える日が続いたあと、18日以降は再び450円台を割ったが、「勤労感謝の日」を挟んで460円前後とやや上げている。25日も東京市場では457円、3市場は461円で反発しており、徐々に12月相場に向けた展開になりつつあるようだ。もっとも、この間までの月平均では472円と高値相場となっており、パーツ段階では逆ザヤが生じている状況。問屋筋は「本音はもう少し安くなってもらいたいところだが、仮にこれから枝相場が下がったとしても打たれるだけ」と苦しい胸の内を明かす。
例年12月上旬の豚肉の動きは国産中心に好調な見通しがなされるが、枝肉相場の見通しは分かれている。昨年12月の枝肉相場は、曜日回りの関係上、中間流通の手当て買いを早めたことで第1週から3週目までは520円前後で張り付き、第4週目以降は急落した。ことしは末端の需要が豚肉にシフトしていることや、カット筋も年末の際のギリギリまで稼働できることから、月通して堅調相場でなだらかに推移するとみる向きがある。
一方で、農水省の肉豚出荷予測では前年同月比2%増の151.1万頭と、ある程度出荷頭数が増えてくることから、「在庫圧迫が解消されていることから、中間流通の手当て買いが前半に集中すれば、昨年同様に後半はなだらかに下落する」という見方もある。どちらにせよ、月初の特売で末端の手当て玉がどの程度さばけるかで、後半の相場が左右されそうだ。