宮崎県川南町の肉用鶏農場で高病原性鳥インフルエンザ、12.2万羽の殺処分開始

宮崎県川南町のブロイラー農場(肉用鶏約12.2万羽)で、19日に高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の感染が疑われる事案が発生していた問題で、同県は同日夜、遺伝子検査の結果、疑似患畜が確認されたと発表した。20日早朝から殺処分などの防疫措置を開始した。移動制限・搬出制限区域内は、ブロイラー397万羽を含む563万羽が飼養される養鶏農場の密集地帯。クリスマスを控えた需要期での発生に一部では不安感も強く、食肉事業者には影響についての問い合わせも寄せられているようだ。確認検査での陰性や、移動時の消毒ポイントの通過などを一定の制限の下で出荷できることから、今のところ市場への影響はほとんどないといえる。ただ、密集地での発生により、まん延が懸念されることから農水省は対策徹底など通知を発出した。

発生農場から19日12時45分に死亡鶏が増加した旨の通報を受け、宮崎家畜保健衛生所が農場立入検査を行った。簡易検査でA型インフルエンザ陽性を確認された段階で、同県は当該農場の移動自粛を指示。23時50分に同家保の確定検査(PCR検査)の結果、H5亜型のHPAIの疑似患畜であることが確認された。これにより、家畜伝染病防疫指針に基づき、移動制限区域(農場を中心とした半径3km以内の移動制限区域)と搬出制限区域(3~10㎞以内)が設定された。

また19日午前中(通報前)に当該農場から約20㎞離れた日向市の食鳥処理場に1,900羽が出荷されていたが、この鶏は生きたまま確保され食肉としては出回らず、同食鳥処理場を中心にした半径1kmに移動制限区域が設定された。農水省は19日の疑い事例が確認された時点で、鳥インフルエンザ防疫対策本部を開き対応方針を決定。また、養鶏農場の密集地である点を考慮し、まん延を防ぐため的確な初動対応とともに、他の家きん飼養農場への不要不急の出入りを控えるよう通知した。

同県は、発生農場での殺処分を380人体制で開始、24時間以内の殺処分、死体・汚染物質の処理消毒を目指す。日向市の食鳥処理場に出荷された1,900羽も殺処分の対象となり、殺処分が行われている。消毒など防疫措置が終了すれば、制限区域外からの搬入も含め稼働は可能となる。同様に、搬出制限区域内に2カ所の食鳥処理場があるが、同エリア内のブロイラー農場から同処理場に出荷し処理は可能、さらに制限区域外から搬入し処理し消毒ポイントを設定した上で出荷することができる。消毒ポイントは20日現在、3km以内に4カ所、3~10㎞以内に7カ所、当該食鳥処理場前1カ所の12カ所が設置された。

農場だけではなく、すでに出荷済みの日向市の食鳥処理場と、搬出制限区域内の2つの食鳥処理場がある。移動・搬出制限区域内の飼養羽数が多く、処理場も含まれるものの、日向市の処理場については防疫措置終了後、県と農水省との間で消毒や運搬面での条件を協議した上で再開されるほか、搬出制限区域の2カ所の処理場については、条件が確認され次第すぐにでも出荷ができる。このため、今回の発生のみで出荷に大きな影響が出るとは考えづらい。