和牛は高値による末端の販売不振により、和去A3など11月並みの水準に

和牛の枝肉相場の高値が続くなかで、12月後半に入ったにもかかわらず末端の売れ行きは良くない。もちろん動いてはいるが、最需要期という賑わいは感じられないというのが業界関係者の多くの感想だ。国産相場をみると、和牛去勢A5はブランド牛への引合いが強く、昨年並みの高値を付けているが、和去A3は現段階で前年を下回っており、この分では12月平均でも前年を下回り、ほぼ11月並みの水準にとどまると見込まれる。交雑B2も同様に前年を下回り、こちらも12月平均は11月並みでの着地になりそうだ。

量販店では、白菜、ネギなど鍋物に使用する野菜価格が高騰し、さらに和牛をはじめとした牛肉の価格上昇で鍋物セールを訴求しづらい状況になっている。和牛は枝肉相場高とともに、鍋需要がそう期待できない中で売場面積も縮小しており、並ぶのは切落し程度にとどまっている。大手量販店では、開店セールの中で栃木産の交雑種を「和牛よりも安価で美味しさはそん色ない」として前面に出して販売するなど、交雑へのシフトが見られる。とはいっても、牛肉コーナーは豚肉に比べると小さい設定となっている。

輸入牛肉は、11月までは、高騰する和牛などの代替で、現地相場が下がり割安感のでたチャックアイロール、ショートプレートが販売されてきた。農畜産業振興機構の10月の牛肉需給を見ると、推定出回り量は輸入品が14%増の5.0万tに対し、国産品は7%減の2.7万t、合計では6%増の7.7万tであり、数字的にも裏付けられている。

しかし、米国産の11月生産・12月入荷玉は、10月生産分に対しショープレで10~15%高、チャックアイで約20%高となり、12月はこのコスト高の商品が出回っている。豪州産の11月船積数量はチルドで1.1万tと3カ月ぶりに1万t台に乗せたが、決して潤沢な供給という状況ではない。この結果、成約した分を淡々とデリバリーするのみで、関係者は、「浮遊玉がどんどん売れる状況ではなく、浮遊玉自体もない。例年の年末の状況とは全く違う」と話す。豪州産のモモ系がクリスマスのローストビーフ用に動いたが、これも一時的な販促にとどまった。チャックアイは、高値の和牛・交雑の代替で、コスト高ながら多少は強気の手当てをしたが、これも期待したほどではないようだ。