豚熱が発生した神明畜産ら3社が民事再生法の適用申請、バンリューの下で再建図る
東京都東久留米市の養豚業・肉用牛生産業の神明畜産(東久留米市中央町6-2-14、髙橋義一代表、資本金9,700万円)及び、グループ会社の肉の神明(同所、同代表、2億円)、共栄畜産(同所、高橋三男代表、8,000万円)の3社は、9月9日に東京地裁に民事再生法の適用を申請、同日保全・監督命令を受けた。神明畜産ではことし7月に豚熱が発生するなど、資金繰りが悪化していた。
そのためスポンサーを選定し、バンリュー(兵庫県姫路市、村上真之助代表)と8日にスポンサーに関する基本合意契約を締結していた。負債は神明畜産が2022年3月期末時点で306億円、肉の神明が237億円、共栄畜産は調査中。(帝国データバンク)
同社は1955年5月に創業した養豚業を、事業拡大に伴い対外信用と税務面を考慮し、67年5月に法人改組。預託分を含む4.8万頭の肉牛飼育、18万頭の養豚を手がけていた。グループで全国各地に牧場を開設し、神明畜産は北海道や栃木、島根などの大規模牧場において、牛・豚を育てていた。
しかし、素牛や飼料価格、人件費の高騰、衛生面やアニマルウェルフェアの強化などで経費が増大し、収益性が改善できず、有利子負債が負担となっていた。ことし7月には、神明畜産が経営する栃木県の養豚場で豚熱が発し、全頭(約5.6万頭)の殺処分を余儀なくされ、資金繰りが悪化したことで、スポンサーを選定し、支援の下で再建を図ることとなった。
肉の神明は77年10月に設立し、牛肉・豚肉を中心とした卸・小売を手がけていた。共栄畜産は72年5月に設立し、肉用牛の生産を手がけていた。神明畜産に連鎖する形となった。
申請代理人は中西敏彰弁護士(大阪市中央区北浜1-8-16、北浜法律事務所)ほか7人、監督委員には進士肇弁護士(港区西新橋1-7-2、篠崎・進士法律事務所)が選任されている。14日午前10時30分から、債権者説明会がウェブで開催される予定となっている。
〈中部飼料、フィード・ワンが債権取立て不能の恐れ〉
中部飼料、フィード・ワンは12日、民事再生法の適用を申請した肉の神明に対する債権に取立て不能・遅延の恐れが生じたとそれぞれ発表した。
中部飼料の債権(売掛、手形)・買付金は総額14億9,600万円(22年3月期連結純資産の2.4%)。
このうち、担保で保全されない部分約13億円は、23年3月期第2四半期で引当処理を行う方針という。フィード・ワンの売掛債権・買付金は4億6,300万円。債権保全のため担保を取得しているが、担保等により保全されない部分は、23年3月期第2四半期決算で必要な引当処理を行う予定。
両社とも、今後、業績予想の修正・見直しが必要と判断した場合は速やかに開示するとしている。
〈畜産日報2022年9月13日付〉