日本生ハム協会 11月11日“生ハムの日”にイベント開催、エキスパート資格者12人に認定書授与
長期熟成ハム(以下、生ハム)の正しい知識や取扱方法の普及、それに関連する食文化の啓もう活動を行っている日本生ハム協会(JCHA、渡邉直人代表理事)は11月11日、東京都内で「生ハムの日」イベントを開いた。
11月11日は「生ハムの日」。この記念日を祝うイベントで、8回目を迎える。駐日スペイン大使館のフィデル・センダゴルタ・ゴメス・デル・カンピージョ大使夫妻をはじめ、生ハムのインポーターや流通業者、外食事業者、一般消費者ら会員・関係者が多数参加した。
JCHAは、日本市場に多く出回る“生ハム”(ラックスハム)とは違った、南欧の食文化の中核である長期熟成ハムの認知を広げ、消費拡大を図る目的で2015年10月に発足した一般社団法人。イベント当日は、日本初かつ世界初の「生ハムの食文化の資格制度」の最終資格である「JCHA エキスパート資格試験合格者」について、ことし新たに資格を取得した12人に対して、服部津貴子最高顧問(服部栄養料理研究会会長)から認定証と資格バッジの授与式が行われた。
同エキスパート資格は、将来創設予定の世界生ハム資格制度の受験を可能にするためにJCHAが創設したもの。資格者は生ハムの製法の違いを説明できる知識とカッティングの専門的技術を有している。
会場には、スペイン・ギフエロ産のイベリコハム・ベジョータ(熟成期間42カ月以上:提供会社フレンチF&Bジャパン)、スペインのハモンセラーノ・グランレセルバ(18カ月以上:同)、スペイン・ハブーゴ産のイベリコハム・ベジョータ(48カ月以上:アトム(株))、フランス・サヴォア産のジャンボン(9カ月以上:マツヤ(株))、国産黒豚の長期熟成ハム(24カ月以上:育風堂精肉店)の5種類の生ハムが用意され、エキスパート資格者がカッティング技術を披露した。
開会にあたって渡邉直人代表理事は、8回目のイベント開催に至ったことに感謝の言葉を述べたうえで、「生ハムの原料である豚は、人類が約1万年かけてイノシシから食べるために作り上げた動物。つまり、人類がいつでも良質な動物性たんぱく質と脂質を取ることができるのは、豚を改良したため。その豚肉製品のなかでも最も付加価値を高めたものが生ハム(長期熟成ハム)だ。生ハムを熟成させるうえで、短いもので1年、長いもので4~5年かかる。しかも作り方のレシピは2,200年前から存在する」と生ハムの特徴を強調した。
そのうえで「イタリア産プロシュートがASFで輸入が停止された関係で、1月から9月までの累計のイタリアからの輸入量は前年よりも800t減少している。しかし、フランス産が130t増加し、スペイン産に至っては400t以上増加、米国からは310tも輸入されるようになっている。トータルでみると前年よりも100t以上多く輸入されている。しかし、日本で生ハムを語ることができる人は少ない。そのため、エキスパート資格者の存在が重要になる」とアピールした。
来賓を代表してフィデル大使は、「スペイン産の豚肉加工品には品質のこだわりがあり、いくつかの町・地域は伝統と品質を誇る生ハムの特産地として有名で、それぞれ原産地呼称制度の認定を受けている。同制度の認証を持つハモンセラーノとしては、『グラナーダ』『テルエル』で、ハモンイベリコでは『ギフエロ』『ハブーゴ』『エストレマドゥーラ』『ロスペドロチェス』が挙げられる。スペイン産の豚肉加工品は日本市場で拡大傾向にあり、まだまだ(参加された事業者の皆さんの)売上げと事業拡大の余地がある。昨年のスペインから日本への豚肉加工品の輸出額は前年比13%増加しており、1,000万ユーロに達している。スペインはイタリアに次いで日本への食肉加工品の供給国として2位の国となっている。そのシェアをさらに拡大させ、スペイン産の品質に見合うよう、1位になることを期待している」と述べた。
〈畜産日報2022年11月21日付〉