ハムソー・食肉関連9社の中間連結決算、売上高1兆8568億円で増収も経常の増益は1社のみ

〈円安など想定を上回るコスト上昇に価格改定が追い付かず、消費者の買い控えも〉

ハムソー・食肉関連9社の2023年3月期第2四半期(中間)連結決算がまとまった。

同期は、コロナによる制限が緩和され外食業界などの回復が期待される一方で、急激な円安、原材料やエネルギーコスト高騰により、生産コストが上昇しハムソー・食肉関連だけではなく幅広い業種で価格改定が行われた。価格改定は、業種によっては複数回行われ、消費者が買い控えを行うなど、消費動向は予断を許さない状況となっている。

ハムソー・食肉業界でも、製造コストが想定以上に上昇する一方で、価格改定が思うように進まない厳しい状況となっている。対象9社の売上高は前年同期比6.6%増の1兆8568億円(1億円未満切捨て、以下同じ)だった。7社が増収、2社が減収となった。しかし、経常利益では、増益は1社、減益は5社、損失は3社と極めて厳しい結果となった。コストが想定以上に上昇し、価格改定で増収も、価格改定が追い付かず減益基調となった。

セグメント別には、ハムソー売上(公表している6社対象)は2448億円(0.4%増)となった。増収が3社、減収が3社、合計では微増となった。コロナが落ち着き、当初の需要拡大から市場が縮小する中で、価格改定を行い、各商品でまちまちだったものの全体では微増を確保した。しかし、コストの上昇に価格改定が追い付かず、各社とも減益を余儀なくされた。さらなる価格改定や、新商品投入、キャンペーンなどハムソー事業の強化が求められる。

加工食品(調理加工品が中心)売上(6社対象)は3572億円(3.0%増)だった。6社中、4社が増収だった。コンシューマ商品は前年の反動で苦戦も、業務用商品が回復して全体では前年を上回った。ただ、ハムソー同様、コストが大幅に上昇し利益面では前期を下回った。食肉売上(7社対象)は9,628億円(11.5%増)だった。国産食肉の相場高、輸入食肉の現地相場高と物流の混乱で調達に苦労したが、輸入食肉の国内相場の上昇で売上高は全体で二けた増となった。利益面では、輸入品価格の高騰、飼料価格高などによる調達価格と燃料費の上昇などで苦戦した。

〈主力ブランド商品の販売数量の回復、10月からの価格改定の推進〉

下期の取組みについて日本ハムの畑佳秀社長は決算会見で、「全体の取組みでは、物流改革と営業改革を進めていく。加工事業本部では、主力ブランド商品の『シャウエッセン』、『中華名菜』の販売数量を回復させることが課題。主力ブランドのプロモーション強化などによって販売数量、パック数、シェアの拡大を進めていきたい。食肉事業本部はフード会社の強固な営業力を活かした販売数量の増加による全体利益の上積み、ブランド食肉や和牛などの輸出を進めていく。また海外での領域拡大は成長戦略の大きなポイントだと考えている」と述べた。

伊藤ハム米久HDの宮下功社長は、「10月1日から開始した今年2回目の価格改定をしっかりと推進することが最大の課題。数量の落ち込みも想定より少なく推移しているが、消費者に負担が増えるにつれて、どう推移するのか不透明だ。しっかりと変化に対応し、商品施策も含めて実施していきたい。価格改定と同時に買い求めやすい新商品として伊藤ハムから『Silk ウインナー』、米久から『パリッとこれだね!スモークウインナー』などの新商品を秋から発売している。これらの商品展開でシェアの拡大、販売量の拡大に期待している」と説明した。

〈畜産日報2022年11月24日付〉

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