USMEFアメリカンラム・テイスティングセミナー開催、「ラムのフリカッセ」調理実演などで“幻の逸品”を体験/米国食肉輸出連合会
米国食肉輸出連合会(USMEF)は11月26日、東京都内でアメリカンラムのテイスティングセミナーを開いた。
アメリカンラムとしては輸入解禁後、初の一般消費者向けイベントで、今月上旬に中野区で開かれた「羊フェスタ2022」などで募集をかけ、抽選で選ばれた20組40人弱が参加した。
当日は2部制で開かれ、アメリカンラムの特徴について講義を受けたあと、フードコーディネーターの宍倉たける氏(タケル・シシクラ代表取締役)が考案したアメリカンラムのメニュー3品(ラムのリエット、ラムのチョッピーノ風スープ、ラムのフリカッセ)とワシントン州産ワインとのマリアージュを楽しんだ。
セミナーでUSMEFの笠谷樹シニアマーケティングマネージャーはアメリカンラムについて、「日本にも数少なく輸入されており、高級品ということもあり、シェア的にも国産のラムよりもやや小さく、わずかな量が輸入されているのが実情。その背景もあり、(マーケティング戦略として)『幻のラム』という形で伝えている」と説明。そのうえで「日本にも、ラム好きの消費者の方がものすごく多いことを認識している。今回、皆さんをお招きして、アメリカンラムを体験頂き、伝えていただければと思う」と理解を求めた。
また、来賓として参加した羊齧協会(ひつじかじりきょうかい)の菊池一弘代表は、「11月上旬に『羊フェスタ』を行ったところ、2日間で来場者は約4万5千に上った。コロナ前の19年が3万人だったため、コロナ過のなかで羊肉の需要や注目度が下がるどころか、むしろかなり上がっている。イベントを運営していた我々が一番驚いた。そういう形で羊の需要は、かなり伸びてきている」とあいさつした。
さらに「以前、羊肉の好きな人たちが集まるのは、概ね30代後半以上の人たちだった。最近、消費者3,300人にアンケートを取った結果、20~30代で(羊肉が好きという回答が)30%を占めるようになり、ここ3年間で羊肉好きの若年層化が進んでいる。羊肉の産地も多様化が進んでおり、現在も全体の98~99%がオセアニア産の羊肉だが、輸入する産地も増えてきている。羊肉といっても色々な産地があり、多様性が出たことによってさまざまな人たちに興味を持ってもらえるようになっている」と説明した。
そして、アメリカンラムに関して「ラムチョップが出てくると驚くのだが、欧州系のラムと比べると、2~3倍くらいの大きさがある。味わいは穀物肥育のため甘く、柔らかい。冷めても脂がサラッとしている。ラムチョップには脂身が付いているが、その脂に注目して味わっていただければ」と評価した。
アメリカンラムのパッカー「スーペリアファーム社」の販売総代理店であるファームランドトレーディング(株)の田代愛里氏は、映像を使いながらアメリカンラムの特徴を紹介した。田代氏はオセアニア産ラムとの違いなどを以下の通り説明した。
▽工場はコロラド州デンバーとカリフォルニア州サクラメント近郊の2カ所あり、日本向けはすべてカリフォルニアの工場から出荷されている。サンフランシスコから空輸で2週間に1度のペースで輸入しており、とても新鮮なラム肉となっている
▽業務提携している繁殖農家では、7~8カ月程度、米国の大自然のなかで放牧されている
▽近年はカリフォルニア州のワイナリーで羊が放牧され、ブドウ畑の雑草を食べて、排せつ物がたい肥となり、土壌をつくるというサステナブルな活動も行っている。太陽光発電の事業者ともコラボして、施設周辺の雑草を食べることで発電をサポートする取組みも行っている
▽概ね生後7カ月齢になると肥育場に移され、トウモロコシ主体の穀物で肥育し、仕上げに取り掛かる。穀物肥育で羊肉独特の香りが収まり、まろやかな風味に仕上がるのが特徴
▽オセアニア産と違い、米国はサフォークなどの肉用種のかけ合わせがほとんどで、個体も大きく、ラムチョップの盤もオセアニア産に比べると1.5倍程度の大きさがある
このほか、今回のセミナーにワインを提供したワシントン州ワイン協会の佐々木慶子氏も登壇。佐々木氏からは、
▽ワシントン州には1千カ所のワイナリーがあり、米国で生産されるワインの5%のシェアだが、カリフォルニア州に次いで2位の生産規模にある
▽ワシントン州はフランスやイタリア北部と同じ北緯45度線にあり、ワインの生産に適している環境にある
宍倉シェフは、参加者を前にしてメニューのひとつ「ラムのフリカッセ」の調理を実演した。下味の付け方から、脂身から焼くといった火入れのコツ、白ワインと生クリームの煮詰め方などのソースの作り方について、プロならではのテクニックを分かりやすく説明し、参加者も興味深そうに写真やメモを取っていた。
今回のセミナーについて、笠谷樹シマネージャーは「アメリカンラムは基本的にアメリカンビーフ・ポークのマーケティング手法とは異なるアプローチで展開していく。(価格・供給量から)毎日食べるものではなく、本当にラム肉が好きな人たちアプローチするとともに、アメリカンラムの価値を確りと評価して、販売していただくホテル・レストランに提案していきたい。価値のある商品にはしっかりと相応の評価をするのが日本市場であり、今後のアメリカンラムの可能性に期待している」とコメントしている。
〈畜産日報2022年11月30日付〉