「全日本大学対抗ミートジャッジング競技会」北海道大学が2年連続で優勝、個人総合部門には北海道大学・佐藤桃さん

「全日本大学対抗ミートジャッジング競技会」大学対抗部門で優勝を果たした北海道大学の学生
「全日本大学対抗ミートジャッジング競技会」大学対抗部門で優勝を果たした北海道大学の学生

全日本大学対抗ミートジャッジング競技会(日本ICMJ、会長:河原聡宮崎大学教授)の第15回大会がが開催された。2月27日にオンライン企画、および3月1日~2日にかけて、東京都中央卸売市場食肉市場、国立オリンピック記念青少年総合センターで開かれた。

近年は新型コロナウイルスの感染拡大で対面での競技実施を見送っていたが、今回は4年ぶりに対面での競技が行われた。全国の11大学から40人がエントリーし、うち36人の学生が競技に参加。大学対抗部門では北海道大学が2年連続6回目の優勝を果たした。

この競技会は、大学などで畜産学を学ぶ学生を対象とし、食肉格付に関する体験的な学習を通じて、畜産業や食肉産業の社会的役割や魅力に対する学生の理解増進を図るとともに、学生間の交流を促進し、将来を担う人材の育成を目的に開催されるもの。

協賛企業・団体には、プラチナスポンサーとして公益社団法人日本食肉格付協会、ニッポンハムグループをはじめ、ゴールドおよびシルバースポンサー、協力・後援団体など約70の団体・社・行政がサポートしている。

今回は2月27日に行われたオンラインによる食肉産業セミナーなどを踏まえ、3月1日~2日には1泊2日の合宿形式でグループディスカッションや競技会が実施された。最終日の3月2日には、競技の解説やグループディスカッションの成果発表が行われるとともに、表彰式が開かれた。

競技会は、〈1〉牛枝肉部門〈2〉豚枝肉部門〈3〉部分肉・精肉部門――の3部門で実施された。競技の結果、北海道大学の佐藤桃さんが牛枝肉部門、豚枝肉部門で第1位を獲得、部分肉・精肉部門では、北海道大学の佐藤桃さん、西川優嗣さん、帯広畜産大学の山川綾華さんの3人が同率1位となり、この結果、すべての部門で1位を獲得した佐藤桃さんが個人総合部門でも第1位に輝いた。大学対抗部門では、北海道大学が2年連続で優勝を果たし、準優勝が鹿児島大学、第3位が日本大学となった。

グループディスカッションでは、「今までにない、全く新しい地域ブランド食肉の構想」をテーマに、その内容やPR方法、販売方法などが発表された。審査員5人による審査の結果、ヤギ肉に日本酒の酒粕を給餌するブランドヤギ肉「のんべい」を考案した、Eグループ(メンバー:北海道大学・竹内大輝さん、日本獣医生命科学大学・森田玲さん、東京農業大学・横山葵夕さん、近畿大学・竹川祐貴さん、鹿児島大学・林咲有紀さん)が優勝した。

表彰式の冒頭、日本食肉格付協会の大野高志会長は学生らに労いと称賛の言葉を贈った上で、「『令和の畜産』と呼ばれるように、新型コロナの感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻などで、食料安全保障や国内の生産基盤強化が求められている。そうしたなか、適正価格での取引きを行うためにも食肉の格付というのは非常に重要である。当協会では日ごろから生産者へのフィードバックを行い、育種改良につなげてもらうよう取り組んでいる」とあいさつした。

日本食肉格付協会の大野高志会長
日本食肉格付協会の大野高志会長

続いて、協賛団体であるMLA豪州食肉家畜生産者事業団の北野秀一シニアマネージャーが、スコット・ウォーカー駐日代表からのメッセージを代読し、「我われは第1回大会から協賛している。食肉はたんぱく源として重要なものである。学生の皆さんには、ここで学んだことを継続していただくとともに、この大会がこれからも続いていくことを願っている」と述べた。

個人総合部門で第1位に輝いた佐藤さんは「ここまでの出来栄えだとは思っておらず、優勝できたことに驚いている」と笑顔を見せ、「大学の先輩方やと畜場の方に、詳しく教えてもらった。部分肉では、実際にスーパーに行って精肉をみて勉強していたが、枝肉は実際に見る機会が少なく、難しかった」と優勝までの道のりを振り返った。また、「先輩方からマニュアルだけでは分からないポイントを教えてもらいながら勉強することできた。これからも後輩たちにノウハウを引き継いでいきたい」と北海道大学の強さの秘訣を語った。

最後に河原会長は、「私が会長に就任して以降、初めて対面で競技を行うことができた。食肉産業というのは、すそ野が広大な産業である。皆さんにはここでの経験をこれからの学びに生かし、それぞれが専門分野を極めてもらいたい」と締めくくった。

各部門の入賞者は次の通り(敬称略)。

[牛枝肉部門]
▽第1位:北海道大学・佐藤桃▽第2位:北海道大学・山口凱▽第3位:北海道大学・西川優嗣

[豚枝肉部門]
▽第1位:北海道大学・佐藤桃▽第2位:宮崎大学・中原貴之▽第3位:北海道大学・西川優嗣

[部分肉・精肉部門]
▽第1位:北海道大学・佐藤桃、西川優嗣、帯広畜産大学・山川綾華(※同率1位)

[個人総合部門]
▽第1位:北海道大学・佐藤桃▽第2位:北海道大学・西川優嗣▽第3位:北海道大学・山口凱▽第4位:宮崎大学・三島恵美▽第5位:日本大学・松原優月

〈畜産日報2023年3月9日付付〉

媒体情報

畜産日報

食肉に関する全ての情報が分かる日刊の専門紙

畜産日報

近年の食肉をめぐる情勢は、世界の需給変動や、口蹄疫、鳥インフルエンザなどの家畜の疾病問題やBSE輸入制限の緩和など制度の変更、新たな規制などにより大きく揺れ動いており、企業の業績にも大きな影響を与えております。畜産日報では、こうした食肉をめぐる毎日の動きとともに行政・業界の対応、需給・相場の動向と見通しなど、解説記事と合わせて分かりやすくお伝えしております。昭和35年の発刊以来、食肉業界から最も信頼されている日刊の専門紙です。

創刊:
昭和35年(1960年)3月
発行:
昭和35年(1960年)3月
体裁:
A4判 11ページ
主な読者:
食肉卸、量販店・食肉専門店、外食、輸入商社、生産者組織、行政機関、海外機関など
発送:
東京、大阪の主要部は直配(当日朝配達)その他地域は第3種郵便による配送 *希望によりFAX配信も行います(実費加算)
購読料:
3ヵ月=本体価格22,572円(税込)6ヵ月=本体価格44,788円(税込)1年=本体価格86,962円(税込)