全肉連 食肉小売店の成功事例集「活力あるお肉屋さん」刊行、全国の店舗を例に成功のヒント紹介
全国食肉事業協同組合連合会はこのほど、全国の食肉小売店の成功事例集「活力あるお肉屋さん-顧客満足度を高める店舗展開に向けて」を刊行した。
全肉連が農畜産業振興機構の助成を受け、食肉流通経営体質強化促進事業のうち食肉流通機能強化推進事業により、活力ある店舗づくりのための成功事例の収集及び調査を実施し、その成果をまとめたもの。2017年度から実施しており、今回で5回目となる。専門店ならではの仕入れ・販売、品揃えや商品開発、新しい取組みなどを推進する計10店舗に取材するとともに、専門家による調査を行っている。
同書は「成功のヒントを深掘りする!」「全国のお肉屋さんサクセスストーリー」の2章立て。
「成功のヒントを深掘りする!」では、大学教授などの専門家が食肉小売店の3店舗を調査・分析し、第三者視点で仕入れ・販売戦略、商品開発などをみて顧客満足度を高める店舗展開に向けた方向性を見出している。
「全国のお肉屋さんサクセスストーリー」では、全国計7店舗の特徴、商品及び店舗展開などを取材し、成功への秘けつを探求している。
掲載事例は次の通り。
◆「成功のヒントを深掘りする!」
・大吉商店(滋賀県)
・横浜南部晃進(神奈川県)
・グルメショップ渡淸(栃木県)
◆「全国のお肉屋さんサクセスストーリー」
・かたい信用やわらかい肉 肉のいとう(宮城県)
・肉の旭屋(山形県)
・肉の藤太(岐阜県)
・丸小本店(愛知県)
・おき精肉店(島根県)
・肉のクマザワ(岡山県)
・本商店(広島県)。
「成功のヒントを深掘りする!」で、安部新一氏(宮城学院女子大学名誉教授)は、近江牛の精肉や加工品などの販売とレストラン経営を併設し相乗効果で顧客拡大に成功した「大吉商店(滋賀県大津市)」を調査報告している。他にも、新規顧客開拓のための販促活動や、割安料金などの独自体制と仕組みづくりの導入などの成功点を紹介している。
野口敬夫氏(東京農業大学准教授)は、自社ブランド牛を中心にグループ全体で事業を拡大し展開する「横浜南部晃進(神奈川県横浜市)」を調査報告している。人気の和牛以外にも豚肉や鶏肉、食肉加工品など品揃え豊富な点、生産・加工・卸売・小売を一貫して行い、インテグレーションの強みを発揮している点などを記載している。
神代英照氏(宇都宮大学准教授)は、顧客要望に対応し、自社の高い技術力で商品開発を実現する「グルメショップ渡淸(栃木県宇都宮市)」を紹介している。素材や製造方法にこだわって、オリジナリティー高い総菜製品を製造し、顧客から多くの支持を得ている点なども成功の秘けつとして報告している。
「全国のお肉屋さんサクセスストーリー」では、新店オープンで客層拡大し、日替わりセールの充実といった取組みを行う「かたい信用やわらかい肉 肉のいとう(宮城県仙台市)」、冷凍自販機やSNS活用で販路拡大する「肉の旭屋(山形県南陽市)」などの取組みが紹介されており、各店のこだわりや工夫を知ることができる。
〈畜産日報2023年4月12日付〉