ブラジル・ファヴァロ農務大臣が会見、鳥インフル地域主義の適用範囲変更を求める
ブラジルのカルロス・ファヴァロ農務大臣は7月28日、東京都港区の駐日ブラジル大使館で会見を行った。
高病原性鳥インフルエンザの発生に伴い日伯(日本-ブラジル)政府間で取り決めている地域主義について、現状の州単位から市町村単位に変更するよう、日本政府に要望したことを明らかにした。
また、国際獣疫事務局(OIE)で認定されているパラナ州やリオグランデドスル州など口蹄疫ワクチン非接種清浄地域からの牛肉、豚肉の輸出解禁について、長年にわたってブラジル政府が求めてきたとし「ブラジルの牛肉(豚肉)は非常に品質が高く、さまざまな国で競争力のある価格で輸出されている。そろそろ日本も(解禁を)決断する時期だ」と訴えた。
ファヴァロ大臣は、エスピリトサント州とサンタカタリーナ州で発生した鳥インフルエンザについて「(発生は自家消費用の農場であり)、現在、ウイルスは商業用の農場で検出されていない。現在、商業ベースの養鶏場で発生していない国は世界に4カ国のみで、そのうちの1つがブラジルであり、わが国の監視システム、防疫システムは非常に優秀で、官民の連携が適切に取られており、透明性が確保されている」と強調した。
そのうえで、日本の地域主義に基づく2州の輸入停止措置について「世界基準と比べ、日本の制限のプロトコルは非常に独特だ。自家消費用の裏庭養鶏であっても、発生した州全体に規制がかかってしまう」とし、「今回の訪日のミッションでは、外交的、技術的な面から、地域主義の単位を市町村レベルのゾーニングに規定することを日本政府に要請している。ブラジル側としては技術的に必要な情報をすべて伝えており、あとは日本の決断だ」と説明した。
一方、サンタカタリーナ州以外の口蹄疫ワクチン非接種地域からの牛肉、豚肉の輸入解禁については、「現在、リオグランデドスル州、パラナ州、アクレ州、ロンドニア州の4つの州がすでに非接種清浄地域で国際的に認められている。
つまり、これらの州からの牛肉、豚肉を日本に輸出できる条件が備わっているといえる。ブラジル側の生産者は、非常に品質が高く、衛生管理が優秀で、効率的かつ透明性があり、競争力のある価格で提供しており、輸出できる条件をクリアしている。日本へのブラジル産牛肉の輸入解禁に向けては、もう20年も前から長い時間をかけて、さまざまな取組みがなされており、日本側もさまざまな分析を進めている」としている。
そのため「もう20年も経っているわけであり、そろそろ日本側も決断してよいのではないかと思う。すでにブラジルは日本産牛肉の輸入を解禁しており、双方で牛肉を輸出できるようにしていただきたい」と訴えた。
農水省消費・安全局によると、ブラジルに対して講じている鳥インフルエンザ発生に伴う地域主義について、規制範囲を州単位から市町村単位に変更するようにとのブラジル政府からの要望を踏まえ、今後、両国間で技術的協議を進めることで一致したという。
〈畜産日報2023年8月1日付〉