【令和5年8月の需給展望 豚肉】出荷頭数減で後半も高値維持か、月間平均で税抜き620円前後、末端消費弱く、出荷動向、輸入チルドとの競合など流動要因も

7月後半は学校給食が休みに入った影響もあり、月前半まで600円台半ば(東京市場、上物税抜き)を付けていた豚枝肉価格は500円台後半まで低下した。

しかし、依然として出荷頭数は1日当たり6万頭台前半と少なかったことから、前年実績よりも50円以上高値で推移した。また、供給量が少ないため、大貫物の引合いは依然として強く、結果、7月の月間平均相場は、上で631円(税抜き、前年同月比10円高)、中で617円(14円高)、並で581円(30円高)、等外531円(160円高)と低等級の高値が際立っている。

8月は盆休みの帰省などで地方需要は底堅く推移するとみられるが、災害級の暑さが続くなかで、豚肉消費自体に影響を及ぼす懸念がある。そのうえ、盆休み明け以降は節約意識が強まるため、中部位については荷余り感が強まる可能性もある。供給面では、猛暑や疾病による生育悪化で、出荷は予想よりも伸びてこない可能性がある。供給要因で枝肉相場自体が下支えされることで、8月上旬は600円前半から650円台を維持、盆休み明けの後半は600円割れで推移し、月間平均では620円前後(税込み670円前後)と予想する。

〈供給見通し〉

農水省が7月21日に公表した肉豚出荷予測によると、8月の全国出荷頭数は前年同月比2%減の129万9千頭、農畜産業振興機構の豚肉需給予測では、8月の豚肉生産量は同0.6%減の7万200tと予想している。しかし、依然として猛暑や疾病の影響で餌の食い込みが低下、増体悪化でこれらの予想値をさらに下回る可能性もある。

機構の需給予測では、8月のチルド豚肉の輸入量は、前年同月比3.9%減の3万2,500t、フローズンは12.4%減の4万6,100tと見込んでいる。外貨高を反映して、7月生産・8月入荷分の買付け数量は抑えめといわれているものの、カナダ産の港湾ストの影響から米国産をやや多めに手当てしたケースもあり、盆休み明け以降、在庫がダブつく可能性もある。

〈需要見通し〉

末端消費は、7月の3連休明け以降、冷え込んだ状況で、相対的に好調だったウデ・モモのスソ物の引合いも、学校給食が休みになったことで動きは一服している。猛暑続きで例年以上に消費不振が際立っており、需要が付いているのはひき材や2ケタ売価で売れる解凍ベリーなどで、ロース、カタロース、バラの中部位は不調が続いている。

8月は新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類に移行して初の夏休みとあって、盆休み期間中は都市人口が減少するため、都市部での需要はあまり伸びることはないとみられる。関西地方の豚価が高いため、一部で関東から関西送りの動きもあるようだが、地方送りを含めて地方の量販店や飲食店でどこまで需要をすくい上げられるかがポイントとなる。

パーツは月替わりしてから、カタロースの動きがマシになり、パーツも4ケタ台で流れているほか、スペアリブなどにやや動きがみられる。しかし、ウデ・モモ、バラ、ロースは振るわず、スソ物はここにきて凍結玉も潤沢になりつつある。今後、夏休みが終わる8月後半からは給食の再開でスソ物の需要が回復してくるものとみられる。

〈価格見通し〉

8月の豚枝肉相場は、地方を中心とした末端消費の復調と、供給減という要因が相場にどう反映してくるか、予想が難しい。仮に末端消費が低迷した場合は、枝肉高・パーツ安という状況が一段と強まりそうだ。

また、農家では産子数が減少しているようで、当面、大貫物の相場は高値が継続するとみられる。猛暑による出荷への影響、輸入品との競合など流動要因があるが、8月の枝肉相場はほぼ前月並みの価格を維持しそう。盆休み前の来週前半は上物税抜きで630~650円、盆明け以降は、一時的に在庫補充買いがあったとしても、600円前後の展開となりそうだ。月間平均では上物で620円前後と予想される。

〈畜産日報2023年8月2日付〉

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